イチロヲ

熟女・人妻狩りのイチロヲのレビュー・感想・評価

熟女・人妻狩り(2006年製作の映画)
3.5
弁護士との不倫関係に没入している人妻(三上夕希)が、殺人鬼の毒牙に掛けられてしまう。シリアル・キラー路線を踏襲している、新東宝配給のピンク映画。別題「連続暴行犯 熟れ妻狩り」「人妻ねらい 熟女のあえぎ」「虜囚 ryosyu」。

冒頭部、ナンパから殺害までの流れを、殺人鬼の一人称視点で表現する手法が超絶カッコいい。バー経営者(竹本泰志)が真犯人であることを早い段階で開示して、ヒロインに忍び寄ってくる気持ち悪さを重点的に描くところも面白い。

本作の殺人鬼は、"女性のしたたかさ"に憎しみを抱くという、お決まりのキャラクター像を伴って登場。犯人の過去を明確化せずに、鑑賞者に想像させるところが心憎い。"男性誰しもが憎しみを胸中に秘めていること"を示唆させるラストも印象に残る。

良くも悪くもピンク映画から逸脱している作品だが、"サスペンス劇場に振り切ったピンク映画"というジャンルの構築に成功している。何よりも、憎しみの伝播を知らされる女探偵(佐々木麻由子)の立ち位置がグッド。
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