Omizu

サンレモのOmizuのレビュー・感想・評価

サンレモ(2020年製作の映画)
3.8
EUフィルムデーズ2022にて
スロベニアの作品で、監督は1980年代から活動している脚本家のようだ。監督としては長編フィクションは4作目。

なかなかよかった。詩情豊かな美しい映像がとても心に染み入る。

認知症の老人の話なのだが、『ファーザー』のように捻ったつくりではなく割と直球でシンプルな展開。

しかしながら霧の中の主人公、ラストの雪景色での主人公など自然の中にいながらまるで心象風景のような画面作りが上手い。

またパンにバターを塗る、お茶を注ぐ、庭を歩くといった何気ない動作が叙情的に、繊細に描かれ映画をとても豊かなものにしている。

ラストに主人公が観る景色も、「水」のコラージュが繰り返し出てくることでより味わいが増している。

あの施設がガバガバすぎないかとか、認知症ってそんな都合いいことだけ覚えていられるものかなとか思うことはあるけど、期待していなかった割にはなかなか面白い作品だった。
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