このレビューはネタバレを含みます
タイトルの『帰れない山』に、何だか淋しい響きを感じたので、不安を抱きながら鑑賞。
2時間半と尺の長い作品ですが、
延々と映し出される異国と美しい山々や、壮大な景色に吸い込まれてしまった。
前半は山岳ドキュメンタリーの様なアルプスの夏、少年期のピエトロとブルーノ2人の友情と、父息子の微妙に分かり合えない親子関係や少年達の繊細で不安定な心の動きが丁寧に描かれています。
セリフの少ない場面が続く中でも、飛びっきり素敵な音楽が絶妙なタイミングで流れだします(それだけでも満足)
彼らが青年から成人へと、移り変わって行く時代と共に周囲の人々との関係も変化していく。
後半からは生きていく事の難しさが延々と綴られ、
哲学的な言葉がピエトロの言葉として流れる。
丁寧に描かれた心の成長は、人それぞれ進む速度が違うんだなぁ〜と、ピエトロとブルーノを比較した描き方を見ていてよくわかる。
長い離別があったとしても友情に愛情が籠った絆は切れたりはしない。
けれど、精神のバランスはその時々で崩れたり整ったり、愛情は確かにあるはずなのに心のタイミングはすれ違ってしまう…
悲しいことだけど、親子や夫婦にも当てはまってしまう、ピエトロは父との関係がそうであった…
人生というものは、つくづく上手くいかないものだ…
思い通りの人生を手に入れることは難しい…だから頑張るんだけれど😔
今作はどの年齢の、どんなタイミングで観たとしても、そのときどきで深く心を揺さぶられ、教訓になる作品ではないでしょうか…
原作は未読ですが素晴らしいでしょうね。少し難しそうだけど😅
あらすじや、情報もなく鑑賞しましたが素晴らしい作品でした。
キャスト陣の素晴らしさも知らずに観た私は、成人したピエトロを見てきゃぁ〜(1人で叫ぶ)
ルカ・マリネッリですやん!🥰
『マーティン・エデン』『オールド・ガード』以来だったけれど彼の存在感は半端ないです。