いち麦

ヒンターラントのいち麦のネタバレレビュー・内容・結末

ヒンターラント(2021年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

台詞にも出てきたが、タイトルには他にも幾つか意味が込められているように思う。メッセージを認めたような凄惨な死体が次々と現れ、尋常ではない怨恨が映像から窺われる。それに対して犯人が負った過酷な体験は映像もなくあっさり台詞で流されるので映画の中で因果のバランスが悪い。そもそも戦争状況下ロシア軍の卑怯な策は呪わず、止むなく手を下した人間を恨む犯人の心理は未熟で違和感を感じてしまった。その上、生命の価値の違いまで口にする犯人に、窮地で半ば同情した行動を取った主人公ペルクにも違和感。そのため真相が明らかになっても全く高揚感がない。合成された背景の歪みは全編に漂う不遇の帰還兵たちが抱く鬱屈した精神と呼応しているようで印象的だった。
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