ひろぽん

ゴールデンカムイのひろぽんのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
4.5
舞台は明治時代後期の北海道。 日露戦争に従軍して「不死身の杉元」と呼ばれた兵士・杉元佐一が、戦友であった寅次の妻、梅子を救う大金を得るために、死刑囚たちが隠したという莫大な埋蔵金を追って、大自然に生きるアイヌ民族の少女・アシㇼパと協力して手掛かりを集めていく様子を描いた物語。


1907年の冬の北海道。日露戦争から帰還した「不死身の杉元」という異名を持つ元兵士の杉元佐一は、北海道で砂金を採っていた。そこで、酔っ払いから埋蔵している金塊の話を聞かされる。

ヒグマに襲われたところをアイヌの少女アシㇼパに助けられた杉元は、アシㇼパと手を組み金塊探しを始めていく。

5年前に、アイヌが密かに貯めた20貫の金塊を、「のっぺらぼう」と呼ばれる男がアイヌたちを皆殺しにして強奪した。その男は、網走監獄に収監され、外の仲間に金塊の在処を伝えるべく 24人の囚人の体に金塊の場所を刺青に彫り、それは全員で一つの暗号になっていると囚人たちに伝え、脱獄するように命じた。

アシㇼパの父親を殺した犯人はのっぺらぼうであり、金塊を見つけることで父親を殺した男の利用価値を無くし、処刑させて仇討ちをするという復讐をするため。杉元は、幼なじみの梅子の眼を治す治療費を稼ぐために金塊を探すという、目的が一致したことにより2人で金塊探しをしていくというお話。


北海道の白銀に染まる雪景色の大自然を満喫することでき、戦争やアイヌ文化に触れながら、ほのぼのした飯テロやクスッと笑ってしまう様なコメディ要素を挟むサバイバルアクションが本当に面白くて、この世界観に引き込まれる。

原作は読んだことがなかったが、原作が忠実に再現されているらしいから、作品自体が本当に面白いのだと思う。

“俺は不死身の杉元だ!”という決め台詞を吐く杉元は、無骨な性格ながらもアシㇼパのことを「アシㇼパさん」とさん付けをして呼んでいるギャップがとても良かった。アシㇼパがアイヌ民族で虐げられていても、杉元は全く差別することなく年下でも敬意持って接している点が本当に好感を持てる。

アイヌ語やアイヌ文化に関することがテロップで出てきて解説してくれるから分かりやすいし、知らない人でも見やすく集中できるようになっている。

戦争での生死を賭けた緊迫する争い、残虐に人を殺す巨大なヒグマとの戦闘、雪山での第七師団の兵士との戦闘、馬ぞりでのアクションシーンなど、見ていてハラハラドキドキ手に汗を握るアクションシーンが多くて存分に楽しめた。

それに加え、アイヌの郷土料理による飯テロやネタキャラの白石の緩いコメディ要素が盛り込まれており、シリアスな場面とコメディ場面とのバランスが良く、作品全体を通して緩急があって上手に構成が練られていると感じた。気づいたら作品が終わっていて上映時間があっという間だったし、続編が観たいなと思わせてくれる作品だった。

杉元を演じた山﨑賢人は、安定して実写化した作品に選ばれる理由が分かるくらい世界観に馴染んでいるし、アシㇼパを演じた山田杏奈の白い肌に青い瞳をした幼さが残っているが、逞しく芯の強さがある透明感が際立つキャラがとても似合っていて良かった。アシㇼパのうんこネタや変顔が面白かったし、めちゃくちゃ可愛かった。白石を演じた矢本悠馬は、脇役ながらも圧倒的な印象に残る存在感を放っていて、尚且ついつも面白いから毎回天才だなと思う。

玉木宏演じるぶっ飛んだ執念深い白石のキャラも、舘ひろし演じる老いた土方歳三の演技もさすがベテランという独特の存在感を放っていて最高だった。

最近、土方歳三や永倉新八の新撰組に関する書籍を読み漁っていたからタイムリーで興味深い内容だった。

続編ありきで制作されている作品だと思うけど、1作目からこのクオリティなら大賛成。次作が待ち遠しくなるくらい大満足だったし、もう一度観たいと思える作品に久しぶりに出会えた。アイヌ文化を知るにはとても良い作品だと思う。
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