ウサミ

リバー、流れないでよのウサミのレビュー・感想・評価

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)
4.2
2分のタイムループを繰り返す旅館の一幕。
片付けたはずの部屋が元に戻っている、火にかけた熱燗がなかなか温まらない、食べたはずの雑炊がいつまでも無くならない…
旅館の日常のささやかな異変が、SFを生み出すコメディです。

狭い舞台でめくるめく展開を作り、退屈させない工夫を凝らした素晴らしいエンタメ映画でした。
タイムループモノが越えるべき壁である「同じ映像の連続」を、うまく乗り越えることで、常に動きがある作品になっておりました。

何より、不思議な現象の発生を、登場人物たちが驚くほどに飲み込み理解するのが面白い。
ヒューマンドラマとして見れば無理があるが、コメディとしてはその無理矢理感を逆手に取り、心地よい「お笑い」を生んでいます。
ただ、本作はギャグ映画でもお笑い映画でもないので、登場人物たちは真剣そのもの。フィクションとドラマをうまく混ぜ合わせ、贅肉も不足もない綺麗な脚本になっています。

散らばった要素をうまく集め、さまざまな感情を扱うドラマを展開し、最終的には細やかな伏線を巧みに繋ぎ合わせた大団円を迎える。
こういった脚本と魅せ方で勝負する映画は、いくらあっても足りないくらいです。素晴らしかった!
ウサミ

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