ウサミ

長ぐつをはいたネコと9つの命のウサミのレビュー・感想・評価

4.3
めちゃくちゃカッコよかった…
子供向け映画としてのプロモーションが目立ち映画館に行くのをやめていたけど、絶対これは映画館で観るべきだった…

2.5次元といった、絶妙なバランス感のあるアニメーションと、ケレンみのあるアクションが、他の作品では味わえない、独特の切れ味と気持ちよさを生み出している。

ん?何この質感のアニメーション?と思っていたら、それがあまりにもセンスフルでカッコよくて、演出も画面もカットもどれも痺れる程クールで、完全に魅了された。
こんなにかっこいいアニメーション映画があるのを、もっと早く知りたかった。

ドリームワークスのアニメってピクサーに比べると、やや地味というか渋みがあり、ポップさが足りず絶妙に手が伸びにくい印象。
しかし脚本やキャラクターにしっかり裏付けがありのめり込めるだけの理由がある。『ヒックとドラゴン』とか、面白いしね。

本作も、テンポ良く主人公のカリスマ性を流麗なアニメーションで見せつつ、その内心に蔓延る孤独や恐怖を描き出し、キャラクターの魅力を一気に観客に味合わせる。
ヒーローが持つ傲慢と不遜、だからこそ脆く壊れやすい、その性質は、久しぶりにトニースタークを見たようでワクワクした。

自身の葛藤に疲れ果てたレジェンドのもとに、イノセンスな存在と、かつて心を通わせた存在が現れ、「最後の命」というバックボーンも相まって、人生と向き合う、大人にも突き刺さる普遍的なテーマを描き出す構成が見事。
サブキャラクターの掘り下げも適度で、ファミリー向け映画らしく温かなメッセージで自然と涙を誘う。

悪役の気持ちいいほどのクズっぷりと、お伽噺総結集のサノス感もなかなか見応えありだし、主人公を追い詰める「狼」の恐怖演出と不気味さがなかなか興味深い。

かっこいい男の子映画として。
恋人とみるロマンス映画として。
泣ける友情映画として。
どこをとっても隙のない完璧な映画かも?
ウサミ

ウサミ