「大きな秘密を抱えた人間がその昔どうしたか知っているか？」
もう大人。とことん大人。子供などお呼びでないと言わんばかりに。
クリストファー・ドイルは何故こうも私のツボを絶妙に突く映像を次から次へと送り込んでくるのだろうか。チャウ（演：トニー・レオン）の髪の艶、新聞社で燻らすタバコの煙、スー（演：マギー・チャン）のチャイナドレス、そして香港の雨…何もかもが皆美しい。特に屋台に続く階段で2人がすれ違う場面は絶品だ。そしてスーが持っている金属瓶がとてもいい味を出している。あの中に何を詰め、部屋に戻って蓋を開くとどのような薫りが拡がるのか...そんなことをつい想像してしまった。
ひとつだけ難点だったのは貸部屋の間取りが分かりづらかったことだ。なので今ひとつ位置関係がつかめなかったのと、全編通じて「推して量るべし」で話が進むので状況把握にはやや苦労した。
あと瑣末なことではあるが、気になったのは劇中でチャウが泊まったホテルの部屋番号。あれは後のウォン・カーウァイ作品と何かリンクしているのだろうか？
...とまあまだまだ話したいことはあるが、キリがなくなるので続きは木の中に穴を掘り、その中で話すことにしよう。最後に土で埋めるのを忘れずに。
