ストレンジラヴ

恋する惑星 4Kレストア版のストレンジラヴのレビュー・感想・評価

恋する惑星 4Kレストア版(1994年製作の映画)
-
「その時彼女との距離は 0.1 ミリ」

何と言うか、自分の感性ではよく分からなかった。
つまり「オムニバス形式」ってことでOK?通常のオムニバス作品と違って特段チャプター分けがされていないので、トニー・レオンとフェイ・ウォンを観ながら「で、金城武はどうなったのよ?」という思いが終始頭の中をグルグルしていた。
フェイ・ウォンがトニー・レオンの家でやっていることって、これ住居侵入罪じゃね?と思いながらも、それを許してしまうトニー・レオンに「おいおい香港警察大丈夫かよ...」とツッコミを入れたくなってしまった。
思うに、これはあの中川家みたいなオヤジが経営する惣菜屋という"太陽"を中心とした、若き惑星たちのとりとめのない交錯を描いた人間模様なのだ。そのとりとめのなさが当時の若い世代の人々のツボをうまいことくすぐったのだろう。その点で「重慶森林, Chungking Express」という原題に「恋する惑星」という邦題をぶつけた翻訳者はファインプレイと言っていい。
にしても、かつての魔都が上海ならば現代の魔都は香港だ。冒頭の南アジア系や白人が入れ替わり立ち替わり登場する場面は、まず香港以外の都市では画にならないだろう。仮に撮れたとしてもあそこまで怪しい雰囲気は出せない。ほどよく怪しく、ほどよく小汚く、そしてほどよくゴミゴミしていてほどよく爽やかだ。
縁は異なもの...香港という太陽系で、今日も惑星たちは交錯する。