アメリカで家政婦をするアフリカ移民の話らしいが、南アフリカ辺りの高級住宅街の話と勘違いしていた。そんなことあるのかと思うが、舞台を説明するようなカットが恐らく意図的になく、場所性が薄い。
時間の感覚もあやふやだ。残業や泊まり勤務もしているようだが、そんなふうにはあまり見えない。帳簿も確かなのかわからない。主人公は人の子を預かり、自身もまた母国で子供を他人に預けている。鏡写しのような関係で話は進む。
｢そこ｣でもあり、同時に｢ここ｣でもある。妄想は虫の知らせか、不安から来るものか断定されない。もう起こったことなのか、これから起こることなのか。
壁にかかった写真は画面いっぱいに映され、もはや媒体としてではなく場所として現れる表現が良かった。
