ぱさんの映画レビュー・感想・評価

ぱ

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殺しの分け前/ポイント・ブランク(1967年製作の映画)

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虚実の中間地帯、ある層への移行期間を静止画と静止画に見紛うほど人間が動きを止めた動画で表現される。

移層シーンについて、『2001年宇宙の旅』では意識の加速につれて顔が静止画になり、『ブンミおじさん
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フッテージ(2012年製作の映画)

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家の中をカットを割らずに移動するシーンがちょくちょくある。夫は仕事のために部屋で陰惨な事件の映像を見ているが、扉の外には当然ながら家族がいる。それぞれやっていることのトーンが違う中をシームレスに移動す>>続きを読む

チャイム(2024年製作の映画)

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その場によって松岡が見せる顔が違う。口調も異なる。レストランのシーンなどは雑誌のインタビューかと思う程、人が変わったように饒舌になる。声質も抑揚も耳障りがいいのに、反動で人生に落とし穴が待ち受けてそう>>続きを読む

ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー(2022年製作の映画)

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そんなこともうわかってると思いつつ、いざ観てみると女性搾取的な眼差しをショットレベルで解析していて興味深い。

音の処理によって距離を無効化する、対象をモノ化して一方的に観察するとの指摘は、監督自身の
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二重結婚者(1953年製作の映画)

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回想シーンの中に語り手だけでなく、聞き手の相槌的なセリフまで入ってくるが、この映像はどういう扱いなのか。どこから出てきたのか。回想が長いし、独り歩きというか、勝手気ままに振舞ってるのではと、たまに思う>>続きを読む

月世界旅行(1902年製作の映画)

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カットごとに物のサイズ感が狂ってて楽しい。さっきまで屋内で組み立ててた物が外に持ち出したら家数件分より大きいとか。セットは書割で、しかも平面的な撮り方だから、家の上にロケット大砲が乗ってるような絵面で>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

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オープニングBGMのリズムやタイトルのフォントなど、何となくレフンを思い出す。カラオケというモチーフも含めて。あんな暴力は出てこないけど。

音叉が「落ちている」カットの後に「落ちる」カットが来る順序
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エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命(2023年製作の映画)

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アクションのゆるさと大仰な音楽が気になっていたが、だからこそエドガルドが大人になってからの力加減のおかしさが目を引く。コントロールを知らない人の動き。

そして終盤のあの顔。距離感のおかしい人が他人の
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ザ・ブルード/怒りのメタファー(1979年製作の映画)

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クリーチャーは遠隔で現地生成かと思ってたら、地道に徒歩移動だった。はるばる歩いてきてあのテンションと奇声でやれるものなのか。

規格が統一されたものが大量生産されてるのは、あの時あの頃のまま変わらない
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バニー・レークは行方不明(1965年製作の映画)

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娘は実在するのかしないのか、まだどちらでもある段階、新しい土地と新参者、理屈と理屈が共存してる時間に惹かれる。

ネタがバレてからやや冷めるが、終盤に音響がおかしいところもあって、見た通りに受け取って
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胸騒ぎ(2022年製作の映画)

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サスペンスの導入部のような、もったいぶった伏線が永遠と続く。観客の方が登場人物より状況を把握してる時間が長すぎる。

これといって特筆すべき描写もなく、お仕置タイムまでの時間切れを待つのみ。

クイーン・オブ・ダイヤモンド(1991年製作の映画)

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離人感というか、ボッーと一点を見てたら世界が遠のいていく時の感覚。目が離せない。

その場の環境音は響いてるのに、映ってるアクションの音や会話は拾ってなかったりすることもある。イメージビデオのような、
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

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タクミの声がいい。滑らかな響きと、それに反して切りっぱなしのぶっきらぼうな語尾。そしてあの「あっ」

長回しやら植物目線やら、山の生活を散々見せといて、娘のお迎えを忘れる。忘れるというか、迎えに行くと
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猫とカナリヤ(1927年製作の映画)

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屋敷とそこに住む人の姿を多重露光で重ね合わせる際に、家に対して人のサイズがやや大きいのが面白い。中にいます感が強い。ランドマークのマスに人間の駒を置いたような。家自身が、家の心の中で人間を思い出してる>>続きを読む

永遠に君を愛す(2009年製作の映画)

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ある現地集合の記録。思いは歪に接触するが、とりあえず機会は成立させる。通過点としてやるだけやってみるのいいな。いいかわかんないけど。あの中でバンドだけは予定通りで、イベントがより多面的になる。歌が街中>>続きを読む

THE DEPTHS(2010年製作の映画)

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あの家、スタジオが怖い。結婚式の帰りにあの家が出てくるとは思わない。壁に貼られた写真、暗室にぶら下げられた写真。かつて、この家にやってきた人間たちの写取り。亡霊としての写真。家主が帰ってくるまでひっそ>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

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顔のアップとバストショットが多い気がして退屈にも感じたが、空間の移送に違和感を感じさせないためなのかな。非現実感はあった。

仏さんとしてのドリンクはグッとくる。注文、嗜好が痕跡になる。

あとのまつり(2009年製作の映画)

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「覚えておきやがれ」ってセリフ、懇願にも使えるんだ。子供はいろいろ覚えておきたいんだな。大人になると記憶に残しておきたくないこともあるけど。残ってると、あれからこんなに時が過ぎたのかと恐ろしくなったり>>続きを読む

飾窓の女(1944年製作の映画)

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余計なことをつい喋ってしまう、肝心なところで間が悪い、コントロールできない、世界の歯車の滑りがどうにもおかしい。おかしいことにリアリティがある。

鏡の中でドラマが進行する面白さ。女が鏡を背にしてゆす
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ラジオ下神白―あのとき あのまちの音楽から いまここへ(2023年製作の映画)

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そろそろ帰りますねと言って帰る客人をお年寄りが見送りに来る。団地の廊下を一緒に歩き、楽しかった時間の余韻に浸りながら軽い足取りで階段を下りる。ソフトランディングというか、別れまでの助走というか、この時>>続きを読む

蜂の巣の子供たち(1948年製作の映画)

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フィルムの白飛びが脳裏に焼き付く。空や海だけじゃなく帽子や丸太まで。一応目的地は決まっているが、道中の土地の匿名さが棒読み演技と相まって不思議な印象。誰々に世話になったとかも特にない。

ギリシャとか
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青春(2023年製作の映画)

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いつの間にか季節が変わってた。寝床と職場、室内が多いし、コンクリートの往復で気づかなかった。同じような間取り、同じような会話、同じような作業で月日を感じない。終盤でわかってきたけど、体感で半年くらいか>>続きを読む

怪物(2023年製作の映画)

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落下とそれを予感させるアクションが度々出てくる。そうするのが自然なことのように。そしてそれはついには土砂崩れとなって押し寄せる。

視点の切り替えによって弁解の余地が与えられるが、それでも掬いきれない
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怒りの日(1943年製作の映画)

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部屋の中をカメラをパンして一通り撮られるの何か惨めというか恥ずかしいな。これが全てで御座いますという感じで。動物の観察みたいだ。
火刑の現場は俯瞰で捉えられず、真横からの断片ばかりで全体像が掴めなくて
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

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小学生の頃から30代まで相手を想い続けるにしては、過去パートが弱い気がする。10代にしても20代にしても、あまり印象がない。前世や来世についての会話をするが、積み上げがないので、すれ違いも反響も感じら>>続きを読む

プレイタイム(1967年製作の映画)

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手を伸ばせば届く距離だが、建築によって隔てられることで、全く違う用途に使われる空間になる。マナー、公とプライベート、聞こえる音、何もかも違う。すぐそばにいるのに。特に前半ではガラスや簡易的なパーテーシ>>続きを読む

なみのおと(2011年製作の映画)

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お互いの目線が向かい合わず、それぞれが目の前のカメラに向かって喋る「Z」の形の位置で撮影をしてるのは知っていたが、肩越しの斜めからのカットを見ると正対しているように見える。よく見ると錯覚でやはりズレて>>続きを読む

No.10(2021年製作の映画)

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ネタバレ厳禁とは言いつつ、相当こぢんまりとしてる。契機を経て前半の話から遠く離れてもやる事は変わらない。フィクションを立ち上げること、スケールは違えど劇団の話と地続きになってる。

良かったところは、
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コール・ジェーン ー女性たちの秘密の電話ー(2022年製作の映画)

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女性の地下組織の話だが、その中で男性として唯一働く医師の扱いが面白い。モブ中のモブかと思っていたら、印象が二転三転する。もっと粘着質に描いても良さそうなのにサラッと放流する。

警官役のジョン・マガロ
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グリズリーマン(2005年製作の映画)

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彼は自分が林の中に分け入るシーンを三脚を置いてワンオペで撮影している。男の姿が木々の中に消える。しばらくすると戻って来てやり直すのだが、この間の誰も映ってない、葉が風で揺れてるだけの風景が美しい。皮肉>>続きを読む

ZOO(1985年製作の映画)

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フェルメールの絵に脚はあまり描かれない、描かれていないのは実際は絵の中で足のない人間が椅子に縫い付けられているんだとか、フェルメール狂の医師が足のない女に興奮するとか、唯物加減が凄い。

宮殿のような
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武器人間(2013年製作の映画)

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武器人間の造形が着ぐるみ感があってファニー。しかも結構弱い。元は死体だけど、あれだけ魔改造されて弱いって。第2の人生がトンチキ仮装コンテストは悲しい。POVとはいえ、アクションを面白く撮れてないのは残>>続きを読む

ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

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写真を撮る映画でもあるけど、肝心の出来上がった完成写真がほとんど出てこない。代わりに挟み込まれるのは、こちらを向いて動かない、ポーズをとった人達のポートレイトのような動画。

当時の写真は長時間露光な
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マーサ、あるいはマーシー・メイ(2011年製作の映画)

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室内でこちらを向いて佇む人、すぐ目の前、窓の外を人が通り過ぎても微動だにしない。ガラスの反射で人間だけが明るく浮かび上がってホログラムのよう。または住居侵入の際、庭をフラフラとゾンビのように歩く後ろ姿>>続きを読む

同じ下着を着るふたりの女(2021年製作の映画)

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傍から見れば共依存だが、この生活以外を知らない2人にとってはそう簡単に言いきれない。泥沼かつスリリングで目が離せない。画も面白く、廊下突き当たりの誘い込むように開いたドアはまるで団地ホラー。

我を通
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

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幻聴や幻想が何らかの予知、予感の症状として描かれているところは一瞬面白いと思ったが、実際はシーンの順序を入れ替えたフラッシュバックであることがわかると、やや拍子抜けする。パッと見でそうは見えないように>>続きを読む