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ハッチング―孵化―のsymaxのレビュー・感想・評価

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)
3.7
"チャンネル『素敵な毎日』にようこそ…今日はフィンランドの普通の家庭〜私の家族を紹介します…"

それはそれは素敵な家族…

ティンヤが森で見つけた"卵"は、母の過度な期待に押し潰されそうになる度に、ティンヤの気持ちを受けとめているかのように大きくなり、やがて…孵化した"ソレ"は、歪な家族の姿を炙り出す…

SNSで"幸せ家族"を殊更強調して発信されるティンヤの家族は、確かに幸せそうなんですが、家族の雰囲気はどこか歪で白々しく、姉妹親子のようでありながら、実は相当なプレッシャーを感じているティンヤの禍々しい思いを"卵"が全て受け入れ、孵化した"ソレ"は、見た目も強烈なモンスター…まるで母によって歪んでしまったもう一人のティンヤのようでした。

いち早く、両親の本心やティンヤの闇を感じていた弟は、仮面を被る事で偽りの家族を表現しているように見えます。

母の一方的で歪んだ愛情に必死で応えようと葛藤するティンヤの姿が切なくて悲しくて…そして迎える衝撃的な結末は、気持ちをどこに持っていけばいいのかよく分からず、ホラーというよりも闇が深く、毒を吐きまくりの暗い童話のように感じたのでした…
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