とらキチ

ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュのとらキチのレビュー・感想・評価

4.0
2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロのひと月後、ドイツのブレーメンに暮らすトルコ移民のクルナス一家の長男ムラートが、旅先のパキスタンで"タリバン"との嫌疑をかけられ不当に逮捕され、キューバのグアンタナモ収容所に収監されてしまう。母ラビエは息子を救うため奔走する。
やはり全く同じテーマを扱った作品「モーリタニアン 黒塗りの記録」を思い出す。
“胆っ玉母ちゃん”ラビエの元気で時に厚かましく無知ゆえの“突破力”が痛快。しかし劇中のあまりの速さで進んでいく時間の経過に愕然としてしまう。その間にムラートが受けていただろう仕打ちもそうだし、弟達の成長した姿や初めはトルコ語と独語しか解さなかったラビエが英語を理解出来てしまっているところが、逆に残酷に映る。更には当時のドイツ・シュレーダー政権下の“不作為の作為”も明らかになる。シュレーダーはロシアのプーチン大統領とのあまりに緊密な関係が取り沙汰されたし、逆に後継のメルケルの偉大さがよくわかる。
実話系作品のお約束、エンドロールでのご本人様登場があるが、役者さんのあまりの似せ具合にビックリ。
とらキチ

とらキチ