こなつ

君を想い、バスに乗るのこなつのレビュー・感想・評価

君を想い、バスに乗る(2021年製作の映画)
4.0
こんなに涙が出るとは思わなかった。多分今の自分が過去を振り返る年齢になっているからだろう。そんな事を思いながら公開当時劇場で見逃した作品を鑑賞。

トム・ハーバー(ティモシー・スポール)は、亡くなったばかりの最愛の妻メアリー(フィリス・ローガン)との約束を果たすため、50年以上も住んでいるスコットランドの北の果てジョン・オ・ゴーツからイングランドの南の果てランズエンドまでの1350キロを路線バスで旅することを決意する。重い病気を患っている90歳の老人がカバン1つ持って、気の遠くなるような長い道のりだ。それでもランズエンドに行かなければいけない理由があった。途中、妻との思い出のカフェやホテルを利用しながら、見知らぬ人々と出会い、時にはトラブルに巻き込まれ、若き日の思い出を振り返りながらのロードムービー。

ランズエンドは、2人が人生を始めた場所。そこで何があって遠くの土地に移り住んだのか、傷ついた心を夫婦の深い愛情で乗り越えた今、様々な思い出が蘇る。色々な色や形のバスの窓から流れる美しいイギリスの自然風景と素敵な音楽が、イギリス縦断の壮大な旅を彩る。

イングランドに入ったら、スコットランドのシルバーパスが使えない。強引にバスから降ろされてもひたすら目的地に向かうトム。老人の逞しいバスの旅が街行く人のSNSで拡散され、一躍有名人になっていることも本人は知らない。

60代のティモシー・スポールが、どう見ても90歳にしか見えないおじいさんのトム・ハーバーを好演。若き日のトムとメアリーも素敵だった。
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