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TAR/ターのtoriten45のレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.5
伝記映画だと思ってたらフィクションなんですね。いい意味で「ケイト・ブランシェットを見る会」。彼女が演じるベルリンフィル首席指揮者リディア・ターから醸し出されるカリスマっぷりがお見事でした。ケイト・ブランシェットに演じてもらうためにキャラを作り上げ、物語を作ったのだそう。

クラシック音楽にあまり明るくないので(聴くのは好き)、物語についていけるか心配しましたが、権威者の“圧倒的な自信”と“心の闇”、そしてそれによる“失墜”から“再起”が小難しい表現なく描かれていたので大丈夫でした。

ケイト・ブランシェットの演技は素晴らしいに尽きますが、音楽界の頂点に君臨する重鎮ターの日常に不協和音が入り込む描写がとても巧みで観る側を物語に引き込む力を感じます。

冒頭のチャットや意味深な『Challenge』という本のくだりなど、敢えて説明を省いた伏線に関しては、考察記事を読んでモヤモヤを晴らしています。このアプローチ、普段は好きじゃなのですが今回は「なるほどー!」ってなりました。いつか再鑑賞して確認してみたいです。

マーク・ストロングのヘアスタイルもちょっと気になる……。
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