ムック829

TAR/ターのムック829のレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.7
リディア・ターは世界的にも有名な女性指揮者だったが、パワハラで訴えられてしまう。

先月のことになりますが、実は私、ドラクエの交響楽団コンサートに行ってきたんですよ。
オーケストラは初めての経験だったので、「シンバルの人は固定じゃなくて、いろんなポジションをやるんだな」とかいろいろ発見があって。
そんな中、なんと言っても目をひいたのはやはり指揮者。その荒ぶり具合はなかなかのもので、「指揮ってあんなに自由でいいんだ」と驚きました。
そして一曲終わる度にその曲の主要楽器の演奏者を立たせ、拍手を送っていたのが凄く印象的だったんです。
全体をまとめる指揮者たる者、演奏者への感謝と敬意を示すのも大事なんだろうなと。

そこへきてこの映画。あれれ?私が見て感じた指揮者像と全然違うんですけど…。
ケイト・ブランシェット演じるリディア・ターのあまりにも尊大すぎる態度に閉口。
いくら実績があって自信があろうとも、気配り出来ない人間に人はついてこないよねと。

また彼女の人物像の紹介となる前半が冗長すぎる。インタビューにそんな時間かけられても…。
なにより演奏シーンが少なすぎたのが残念。音楽がメインじゃないにしろ、もうちょっと指揮する姿が見たかったですね。
しかしケイト・ブランシェットの演技自体は凄かった。圧倒的な自信に満ち溢れていた前半から、どんどん憔悴していく後半への変わりようが凄い。

ストーリー的にはスッキリもせず、感情移入出来る人もいなくてちょっといまいちだったかな。
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