みかぽん

TAR/ターのみかぽんのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.8
主人公の性格や言動を好きか嫌いかと聞かれれば好きじゃないと答えるけど、野心があって自分の力で成り上がった人間にありそうな性格と言えばそんな感じ。
自分の許容から外れれば、生徒や子供相手でも容赦なし。
そして意図してだろうが本作、ター自身が対象に報酬をちらつかせて関係を迫る、あるいは拒まれてその人間の人生を潰すような描写は皆無で、観る側に想像の要素を与える(捉え方によっては不親切な?)作りになっている。→実際の場面でクビを言い渡すシーンは、そうした利害に関係が無い中年の男性楽団員だったりする。

野球でもサッカーでもそうだろうが、結果に伴う全責任を背負う人間の立ち位置は孤独だ。仮に温情で残し結果が出なければ、世間はその采配者を際限なく叩くだろう。だからこそ事前に原因要素を調整しようとすればそこも人間相手なわけだから、当然、絶望や恨みを買ってしまうわけで、う〜ん、彼女は果たしてクラッシック音楽界のハーヴェイ・ワインスタインだったのか。それともキャンセル・カルチャーの被害者なのか…。

とは言うものの、新たな環境での彼女は積極的で、むしろ以前よりも楽しげに全力投球だ。
もしかしたら、、。権威にすがり、それを全てとした時点で人は敗者になるのかも知れない。
クラッシックがオワコンとは言わないけれど、様々から選択可能な現代に於いての負け知らずは、もしかしたら彼女みたいな人かも。
としたら、この結末ってむしろハッピーエンディング?だったりしてね😵😵💦
みかぽん

みかぽん