Boss2054

生きる LIVINGのBoss2054のレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.8
前日にオリジナル版を観た。
140分。
この作品はなんと100分。
40分も短い。
が、シークエンスは、ほぼカットされてない。
ちなみにシークエンスとは話のかたまりのコトである。
例えば、人物紹介のシークエンスとか、
状況設定のシークエンスとか。
少し逸れるが、おおよそ、一つのシークエンスが15分で、
それが八つで120分。
一本の映画が出来上がる!
八つのシークエンスが思い付けば、
アナタも映画が書けるト云うワケだ!
あはは😆

戻る。
では、どこが短くなっているかと云うト、
シーンの中身である。
シーンの本質的な部分だけ残して、その前後はカットしてある。
要は、コレだけ云えば、このシーンは成立するから、
ト云う部分だけを残してあとはカットしてある。
コレがカズオ・イシグロさんの脚色の巧さだろう。
実に巧い。
で、それが、イギリスらしさを表現しているコトにも繋がっているのかも知れない。
日本人には物足りないが、イギリス人には充分ト云うワケである。
推測だが。
それでもワタシは、
後半部分は、オリジナル版の方が好きだ!

日本人は感情を表に表すのが苦手だと云われているが、
オリジナル版の役者さんたちの演技はそうでもない。
あの志村喬さんだって、
抑えた演技に見えるが、充分感情を露わにしているように見える。
ビル・ナイさんは、そこを意図的に抑えている。
耐えているト云っても良いかも知れない。
ワタシは、ビル・ナイさんの演技に侍を感じた。
イギリス人は感情を表に出さないコトを良しトしているのかも知れない。
それが真の紳士なのだろうか?
そう云えば、ジェームズ・ボンドだって、普段はクールだ。
で、その耐える演技がこの役に合っている。
ビル・ナイさん、ホント、良かった。

実は若い頃、オリジナル版を観てもあまりピンと来なかった。
七人の侍や天国と地獄、用心棒や椿三十郎の方が遥かに面白かった。
が、歳を重ねると俄然印象が変わる。
観るたびに身に沁みる。
歳をとるとはこう云うコトなンだろなあ〜トしみじみ思う。

あと何回観るコトになるのだろう⁇
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