このレビューはネタバレを含みます
その昔、作品が映画化もされている著名な作家で風水師でもある方がおっしゃっていたんですが…
「戸」には、地面の裂け目という意味があって、その字を含んだ地名は大きな地震が起きる場所(思い当たるところは多々ありますね、敢えて書きませんけど)であると。
主人公、岩戸鈴芽の戸締まり(戸が2つですね)を描くロードムービー、災いの扉(後ろ戸)から飛び出る「ミミズ」の描写を見た時、そんな事を思い出しました。
天気の子の時は、冒頭で世界観に入り込むのがやや苦労したと記憶していたのですが、今回はすんなり。予告を観ていたり大体予測可能のストーリー展開というのもあったかもしれませんが。いきなり、文字通り鍵を握る人物が椅子にされてどうなるの?と始まる旅ですが、すずめと椅子(笑)のやり取りとか、途中々出会う人達との触れ合いが、悲壮感が少なく微笑ましいので、しんどいな~という展開が無いのが良いです。結構、クスッと笑うシーンが多いですね。劇中に流れる皆さんにとっての懐メロ(私はリアルに聴いていた世代です。♬ギザギザハートの子守唄~♪)も、やり過ぎ感がなきにしもあらずですが、まあ許容範囲です(笑)
東日本大震災から11年、まだまだ完全復興はしておらず、人々の心の問題が解決しているとは決して思えませんが、天間荘の三姉妹でも取り上げられていたテーマで日本人が避けて通れない大きすぎる喪失なので、再生に向けて日々進んで行くしかないのでしょう。とても複雑な問題ではありますね。
私は学がないのでわからないのですが、日本政府は何処何処の聞いたこともない国に莫大なお金を支援したりしますよね? 外国に投資するより先にまず自国の災害支援、完全復興が先ではないんでしょうかね? そして、生活が苦しい国民に対しての援助がその次じゃないんでしょうかね?国民の税金でしょ?お金の出所は。
わかりません。頭の良い方、教えて下さい。
さて、残り30分クライマックスシーンもダレる事無く楽しめました。環さんの本音がサダイジンの影響とはいえ、すずめからしたらショッキングな内容でしたが、すずめの返しもキツいので、本音でぶつかり合う形になって、より二人の距離が縮まって良かったんでしょう。家族関係の再構築には何らかの問題を乗り越える必要はあるので。
すずめとダイジン
環さんとすずめ
この関係性ね。
「うちの子になる?」
デリケートな問題を扱っているのは事実なので、これは問題になると発言していたレビューワーも多々見かけましたが、自分は、生きる希望をもらえた作品だと感じました。要石と閉じ師に頼るだけでなく、問題から眼を逸らさずに、希望を強く持って生きて行くしかないでしょう。
そう思いませんか?
かけまくもかしこき日見不の神よ、遠つ御祖の産土よ
久しく拝領つかまつったこの山河、かしこみかしこみ
謹んでお返し申す!
お返しします!
『戸』締まりました。