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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのcigaretteのレビュー・感想・評価

3.9
内容が難解と聞いて構えてたけど、見てみたら面白かった!

たしかに、並行世界がフラッシュする演出に混乱しそうになるけど、馬鹿馬鹿しい演出を、楽しむエンタメ映画なので深く考えず感覚的に見るといいかも。

登場人物が多いので、色んな要素がストーリーに詰め込まれてますが、パラレルワールドは、脳内での判断により枝分かれする事、そして、親子の固執した偏愛がその枝分かれをネガティブな方向へ向かわせてしまうことを2時間半の映像で表現したのではないでしょうか?

主人公エブリンは、親からの精神的な圧力を受けて育ち、人生なんてつまらないものと考えて生きている。旦那さんのユーモアを軽蔑し、レズビアンをカミングアウトした娘にも普通でいることが当たり前だと無言の圧をかけ、日々を不機嫌にイライラしながら生きている。

そんなエブリンが、並行世界を移動する能力を手に入れ、どこかの世界線生きてるエブリンを次々と体験することで、今の家族の様々な問題にも、意味があって、そこに対し、おおらかに受け入れられるようになった。

精神世界みたいな状況にもなり、難解と言われている本作ですが、
超要約すると、エブリンの覚醒物語です。

平凡でイライラしてばかりだったエブリンが、いつもしないこと(馬鹿馬鹿しくユーモアのあること)をして、パラレル世界にワープするというのも、ぶっ飛んでいて面白い。
自分のスタイルをあえて踏み外す事で、小さな異変が起きる。分岐のない、地味な人生をマイナス思考で生きていたら、人生の無駄遣いだ。
パラレル世界をワープする中で、色んな人がいろんな事情をもって生きていることを理解したエブリンだからこそ、
人の人生(娘を)なのに、親の価値観でコントロールするのは違う…ということにも気づけたのでしょう。

馬鹿馬鹿しくも、いろいろ考えさせられる深い映画で、大変面白かったです。
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