さも

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのさものレビュー・感想・評価

5.0
【愛の力は無限ということを再確認するときに観る一作】

超浅いのに超深い。実に仏教的!
ただの家族愛の映画に終わってないのは、家族内での話で終わっていないからだと思った。もちろんこの家族を中心にした話だけど。結果として、監査員の人や祖父・戦っていた人までもハピネスを感じている。網目状に絡み合う人間関係の上で愛によって救われる人たちがたくさんいる。

すべての世界線での自分を経験し、悟りの境地に達した家族【この世界の希望を信じ愛を注ぐ父→娘と同じように闇に堕ちようとするが、父(夫)の存在で愛を悟る母→ジャンプを繰り返し精神分裂、この世に失望してしまった娘が愛に救われる】が描かれており、仏陀の一生みたいだった。愛でこれだけの世界線が救われる。愛は無限の力を秘めているし、この世の真理。

マルチバースは人間の可能性として捉えた。
まじで無限じゃん!こういう捉え方をすると誰でも何にでもなれると感じられる。

ジョブ・トゥパキはここ3年くらいの私を見ているようだった。すべてはいずれ無になるから今の正しさや苦しさ、努力など無意味にしか思えなくて、希望を見出せなかった。どの時代でも争いが起こり、人も自然も苦しみを抱える。それなのになぜ一生懸命になるのか。これを救ったのは母からの愛だった。他者から注がれた愛に気づいた時、その苦しみから解き放たれる。

生きたいという希望が心から湧くのは、誰かから注がれる愛に気づくときなのかもしれない。

すべて無意味であるということは、すべてに意味を見出せる可能性があるともいえる。私は今この瞬間しか生きられない。ならばこの瞬間だけでも大切にしよう。慈しみを持って、その連鎖を紡いでいこう。
さも

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