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マンハントのSSDDのレビュー・感想・評価

マンハント(2017年製作のドラマ)
4.0
ユナボマーと呼ばれるアメリカで17年間郵便爆弾で人々を恐怖に陥れた犯人についてのFBIの分析官について触れた作品。
現在、過去を交互に描きだしながら、前半で主人公。中盤で犯人を描くことで没入感が強くなっている。ノンフィクションものして事実の羅列にならないよう上手く魅せてくれる。

ユナボマーは航空関連に対しての爆破から始まった、低学歴の航空関連整備関連であるというプロファイルの方針を一切変えずに現場が動いており、指揮官の言うことは絶対。
プロファイルを疑うことは今までの捜査経緯を無駄にすることと頑なに新しい要素を入れない、従順な歯車を求める無能集団だった。

その中に新人として放り込まれた一人の分析官はあることに気づく、当時は捜査手法として確立していなかった言語による個人特有の特徴を捉える、文法の「個人の特定」という分野を開拓して行く。

誰にも信じられず、何度も挫折し裏切られたことで、やがて主人公は犯人と同化して行く。

家族も捨て、同僚も裏切り、その先になんとか犯人を捕まえるが、犯人は捕まった後でも一筋縄ではいかない。

犯人の毒樹の果実という理論は畏怖を憶えた。

相手の弱点を法的解釈、世論の感情論、そもそもの思想の根底にあるものを使って突き、相手を崩し合う。
高知能なやり取りは鳥肌ものだった。

結局は主人公も犯人と同化してしまったのだろうか。違う境遇で無力さと裏切りと他者との繋がりを無くしていき、手にしたものは…。

人生の幸せの定義は社会により暗黙的に定義されている、それに乗れないのはマイノリティとされる。
そのことが反社会性を生み、犯罪を生むのであれば、多様な幸福の形が定義できない今の現代社会の不完全さではないかと思える。

アメリカの犯罪史の大きな事件について、知ることができる良い機会でした。
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