この作品はシーズン1からフィナーレの12まで、勢いと面白さが全く衰えないところが奇跡的。正直、バーナデットやエイミーなどの新キャラクターがレギュラーになる度に違和感を持ったが、気づいたらシェルドン、レナード、ハワード、ラージ、ペニー達と馴染んでいた。オタクで対人関係に難を抱えるギーク達もシーズンを重ねるごとに成長して結婚したり子供ができたりと感慨深い。オタク系の話から科学の話までコメディの土台となる設定も普通のドラマより広く、それに恋愛模様まで絡んでくるから面白くないわけがない。会話に散りばめられたジョークや皮肉もウィットが効いていて楽しい。往年のSF映画のスターや実在の科学者などの著名人が楽しそうにゲスト出演したのも良い思い出。ノーベル賞をシェルドンとエイミーが受賞できるかどうかというのが大きなトピックだったが、相変わらずのドタバタで実際受賞が決まってもこのまま次のシーズンに続くのではないかというくらい良い意味でいつも通りだった。ただ、シェルドンが授賞式でしたスピーチで家族や友人へ不器用ながらも感謝の言葉を伝えたときに泣きそうになり、「あぁ、この作品は終わるんだな」と実感した。ノーベル賞を最終回に持ってくるのは科学者達が主人公のこの作品らしいが、一方で極端な最終回っぽさを演出せず来週も放送出来そうな自然な終わらせ方も湿っぽくなくて、ヘビーなシーンでも常に笑いを挟んできたこの作品らしい。この偉大な作品が終わって寂しいが晴れ晴れした気分でもある。
