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SHERLOCK/シャーロック シーズン3のtanayukiのレビュー・感想・評価

4.9
▼シリーズ3エピソード1:空の霊柩車(The Empty Hearse)。原案は『空き家の冒険(The Adventure of the Empty House)』と『消えた臨時列車(The Lost Special)』

シャーロックが自殺によりこの世を去って2年。シャーロックの自作自演疑惑は晴らされたが、ジョンの心の空洞は埋まらないままだった。ただひとり、メアリー・モースタンという新たな理解者を除けば。

メアリーにプロポーズをするためレストランでシャンパンを注文するジョン。だが、注文を受けたのは、あろうことか、シャーロックその人だった。モリアーティの組織を壊滅するため、潜入捜査に従事していたという。だが、ジョンの怒りは爆発する。なぜだ。なぜひと言、生きていると知らせなかったのかと。

仲違いしたままだった2人がよりを戻したのは、地下鉄に仕掛けられた爆弾の解除方法がわからない、という極限状況に追い込まれた(ふりをした)からだった。シャーロック、人が悪いにもほどがあるw

△2023/11/27 Apple TV鑑賞。スコア4.6

▼シリーズ3エピソード2:三の兆候(The Sign of Three)。原案は『四つの署名(The Sign of Four)』

ジョンとメアリーの結婚式。シャーロックは「ベストマン」として会を仕切る立場にあった。慣れないスピーチに戸惑うシャーロックが見もの。彼を見守るモリーやミセス・ハドソンの視線があたたかい。

独身最後の夜(スタグナイトというらしい)をベストフレンド(笑)シャーロックと2人きりで過ごしたジョンだったが、あえなく数時間で撃沈。泥酔した2人のもとに、死人とデートしたという女性からの依頼が舞い込む。その犯人は、ジョンとメアリーの結婚式にも潜り込んでいたのだ。パーティの会場で、誰にも存在を悟られず、自由に行き来できるのは誰か。この問題設定のしかたは、シーズン1のエピソード1と似てるね。

いろいろあったが、ベストマン、シャーロックはつつがなくその大役を終える。「2人のことはぼくが守る」という誓いを立てて。

△2023/12/03 Apple TV鑑賞。スコア4.5

▼シリーズ3エピソード1:ベルグレービアの醜聞(A Scandal in Belgravia)。原案は『ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia)』

ヘビのようなねっとりとした視線でからみつく新聞社主のマグヌセンは、ただのエロジジイではもちろんなく、他人の秘密を暴いて強請り、政府の中枢にまで触手を伸ばす吸血鬼のような男だった。レディ・スモールウッドも彼に強請られたひとり。彼女の夫がかつて女児に充てて書いた手紙が手元にあるという。

交渉役に抜擢されたシャーロックは、マグヌセンのオフィスに侵入する。が、そこにいたのは、同じく彼に強請られていたメアリーだった。自身の天才性を疑いもしなかったシャーロックの一生の不覚。メアリーが何者であるか、彼はまったく気づいていなかったのだ。彼女はフリーランスの諜報員だった。窮地を脱するため、メアリーはシャーロックを撃つ。心停止状態から奇跡の復活をとげたシャーロックに対して、メアリーは「ジョンには言わないで」と口止めを依頼するが、その願いは聞き入れられなかった。ジョンとメアリーは冷戦状態に突入する。

マグヌセンは相手を見ながら明らかに「情報を読んでいた」。彼の眼鏡がグーグルグラスのような情報端末だと睨んだシャーロックは、マグヌセンから眼鏡を奪うが、それはただの眼鏡だった。マグヌセンは何を読んでいたのか。それは、彼のマインドパレス(精神の宮殿)にしまい込まれた情報だったのだ。

マグヌセンは手紙などの現物を持たない。頭の中にある記憶だけで他人を支配していると知ったシャーロックは、ある決断をする。それは、2人を守ると誓った彼なりのけじめの付け方だった。

△2023/12/08 Apple TV鑑賞。スコア4.9
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