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海猿 UMIZARU EVOLUTIONのAPOのレビュー・感想・評価

海猿 UMIZARU EVOLUTION(2005年製作のドラマ)
4.5
2004年の映画『海猿』の続編。
非常にノスタルジックな気持ちで鑑賞。
一昔前にこういう名作達が原因で私はテレビっ子になった、と言っても過言ではない。

海上保安庁海上保安官潜水士の仙崎大輔(伊藤英明)が巡視船"ながれ"に搭乗し任務を遂行していくことになる。いざわかんな(加藤あい)との淡いラブストーリーの展開にも目が離せない。


(以下ネタバレ含む)


第4話

ながれの潜水士達は、難破し沈没した船の船長の遺体捜索にあたるものの最後まで発見できずに任務が終わる。行方不明になった船長はその後遺体が見つるのだが、父の遺品である時計がなかった。船長の息子マサヤが一人で潜り、時計を見つけようと足掻く日々が流れる。
大学へも進学しないで就職もせず、漁船を継ぐこともせず何がやりたいのかまだはっきりしなかった息子が、父親から「立派にちゃんとした職に就いたら、これをやる。」と父親が大事にしていた時計を差し出された息子だったが要らないと一掃する。
私個人的にも成人する前くらいに父親から自身の時計をあげると言われたが、要らないと断ってしまった事がある。大金を払って買ったロレックス。何故要らないなんて言ってしまったのか今では後悔している。
時計に限らずだが、親が大事にしている物を譲ってもらえる事になったら素直に受け取ればいい。その物にはその物の物質的な価値よりも遥かに大きな本質的な価値がある。
息子マサヤはがむしゃらに危険を顧みず海へ潜り時計を見つけ出そうとする。そんな姿にながれの潜水士達が訓練として時計捜索を遂行することが決定する。再び海へ潜りに行こうとしているマサヤに吉岡がその日は遊泳禁止区域担っていることを伝える。
「きたきたきたきたーー!!」からのマサヤの背後からのカットで向かって画面右からながれが現れると同時に神曲が流れる。鳥肌が立ちまくり。自然に涙が湧き出る。心も目も体中熱くなる一連のシーン。大好き。
結局時計は見つからずだったが、仙崎の時計を譲り受けたマサヤの覚悟を決めた顔は勇ましかった。



第5話

池澤(中村トオル)が潜水士を辞めると聞いた仙崎は気が落ち込んでいた。そんな中かんなが取った行動が素晴らし過ぎる。
何を悩んでいるのか思いの丈を打ち明けさせ、しっかり傾聴するかんな。海保の仕事は詳しく分からない故、なんて言ってあげればいいのか分からないし簡単に元気だしてとも言えないとはっきり言う。そっと手を握り、優しく口付けをする。一人で抱え込まないでねと。恋人の存在を頼ってねと優しく伝える。これもう120点でしょう。

別所と長島の絆が凄まじい。長島が真っ直ぐに気持ちを別所に叫べるのは、容易にできることではないと思う。
池澤が残り半年、ながれで勤務したい旨を聞いた下川が質問した。
「あいつを任せてもいいんだな?」はっきりと「はい」と答えた池澤はかっこよかった。惚れてまう。そして仙崎と池澤の間にも確かに絆が出来ていった。


第9話

池澤の死は残酷過ぎる。ただ現実的に、武装し発泡していた相手に対して少々危機管理が出来ていなさ過ぎた感は否めない。人質をボートで救出したらすぐその場から離れながれに戻るのがベターなのは素人でも分かる。池澤もボートの上で無防塵に棒立ちしているところを銃で首を打たれてしまうのが悔しい。


第10話

巡視船ながれの廃船が決定した。28年間働き続けたながれとその殆どを共にした勝田船長。港でパイプタバコ吹かしながらながれを眺める勝田船長は画になる。「すべてのものには終りがある。老いたライオンは消えゆくのみだ。」


第11話

仙崎のかんなに対する真っ直ぐで熱い想いをかんなの母親に伝えるシーンはグッとくる。海上保安官の潜水士としての誇りと同時に純粋に伝える魅力的なシーンだった。
勝田船長は漢だ。こんなカッコいい人になりたい。圧倒的な経験値から来るプライドと自信が滲み出ちゃってる。下川隊長の事故の件で責任を取ると言い辞職願を出したが、それに対する上がとった行動と理由が粋なのよ。責任を取ってまだまだ最前線の船上で船長として闘ってもらう、という勝田さんに言わしてみればある種好都合だし、一番活きる選択。
下川さんは陸上勤務へと異動する決意をし、最後に矢吹と一緒に潜る。
続編の映画で下川さんが呼び掛ける「仙崎!!!」が堪らなく心を燻る。緊迫したシーンを見事に演じる、時任三郎。本作ドラマでは親子の切ないシーンも、その表情で観る者を容易に感情移入させたと思う。少なくとも私はイチコロだった。

ほんまに良いドラマや。
B'zの "OCEAN" も言わずもがな名曲。ピッタリ。
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