ソラアユム

フォールアウトのソラアユムのレビュー・感想・評価

フォールアウト(2024年製作のドラマ)
4.7
題名:フォールアウト
鑑賞日時:2024年4月19日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
評価:4.7(MAX5.0)

『毎回そうだ…みんな世界を救いたくても、やり方で意見が分かれる。』


□鑑賞期間:2024/4/11~4/19
2024年12本目

□核兵器によって荒廃した世界と化したアメリカ合衆国=ウェストランドを舞台にした大作ドラマ

そのメガトン級の面白さに全話鑑賞後、思わずVaultボーイのようにっこりand 親指を一本立ててしまう。原作であるゲームシリーズは未プレイで、ゲーム実況動画を見たことがある程度のステータスだけれど、その世界観の再現度に唯々圧倒される。

今作を鑑賞した方々ならまず触れるであろう映像面は並大抵の映像作品の追随を許さない。
1950年代のアメリカ文化に影響を受けたレトロフューチャーな世界観にコスチューム、ガジェットのデザインセンスが光る。
初めてVaultの核シェルターから外界に飛び出したヒロインのルーシーが変わり果てたアメリカの大地を一望する場面の圧・倒・的・没・入・感。それはオープンワールドゲームで、隅から隅まで作り込まれた世界に感動するような感覚である。

曲者キャラたちによる終末世界群像劇も実に楽しい。
原作の作風に倣って、悲壮感のある終末世界が舞台ではあるものの、『MADMAX』のウォーボーイたちの様にその世界を全力で楽しむエンジョイ勢が登場人物の大半を占めているため、シンプルに楽しいのだ。

Vault33出身の世間知らずで温室育ち、それでも勇猛果敢でキュートなヒロインのルーシー。前時代の遺物回収に心血を注ぐ意識高い系組織=B.O.S(鋼鉄の同志)所属のマヌケで心優しいマックス。元ハリウッドスターで200年間を生き続ける賞金稼ぎのグール。
この三者三様の視点人物が織りなす運命が時に交差し、分岐し、最終話で約束の地に落ち着く。海外ドラマ王道のフォーマットにのっとりつつ、ゲームのシナリオの様に“ルート選択”=ターニング・ポイントをクライマックスに用意する粋な展開に思わず拍手を送ってしまった。

さて、ここまで言っておいてなんだが、洋ゲー特有の専門用語の多さとそれを深くは説明してくれない不親切感はあるし、視点人物の多さに起因する場面転換の多用に散漫な印象を受ける瞬間もなくはない。

それでも、複雑な人物相関図とウェスタロス大陸の地図を睨みながらゲースロ S1を踏破した方々なら、今作ではFall Out大辞典を片手に、ウェストランドの魅力を堪能できるんじゃないだろうか。


以上