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殺人者のパラドックスのアネモネanemoneのレビュー・感想・評価

殺人者のパラドックス(2024年製作のドラマ)
4.0
まず、ひと言叫びたい。

ソックが渋カッコ良すぎてヤバい。
見惚れているうちに次の場面に移り、
巻き戻した箇所も数回有り笑
良きものを観せていただきました。

作品全体としては、8話完結ぐらいで、
ちょうどよかったのでは。

配信開始前に、予告画像から想像した、
刑事と逃走犯の追跡劇をユーモラスに描いた
作品かと思いきや、全く違うトーンの作品で。

(以下少しネタバレ含む)
↓↓









ウシクも頑張ってました。
物語が後半に進むに従い増していく
主人公の陰鬱な心の内の表現を含め、
なかなかのものだったけど、
彼が演じる冴えない大学生イ・タンの
キャラ設定や生き方に共感できなくて
感情移入できず。
(冴えない大学生役やらせたら、ウシク天下一品)

連続殺人犯の心理が理解できないから、
途中イ・タンや ソン・チョンがそれぞれの
理由や衝動で殺人を繰り返す様子が描かれた
あたり(特に4話〜6話)は、
気分が萎えて正直 飽きも出た。

でも、前半から何か背景がありそ気な
様子だったソック演じるチャン・ナンガムの
人生にスポットが当たった7話、8話は、
なかなか見応えがあり、ナンガムの苦悩を
表現したソックの演技もすごく良くて、
個人的には終わりよしで完走。

イ・タンのキャラが、
人を殺してしまった恐怖や
かと言って自首する勇気もなく、
いつ捕まるかわからない恐怖心からの
現実逃避のように、
ノ・ビンに理想のヒーローとして、
祭り上げられたことに便乗して
身を隠しながら、“世直し”と称した殺人を
正当化して続けていくのだけれど。
(クズを嗅ぎ分ける何か信号は無意識に
キャッチするらしいけど)
そこにイ・タンの明確な意思が見える
ワケでもなく、サイコパスと言うには
中途半端で、ただ弱い人間にしか見えない。

全体的に映像表現が巧みだったね。
8話の廃屋でのイ・タン VS ソン・チョンと、
チャン・ナンガム VS ソン・チョンが交錯する
シーンの撮り方もカッコよかった。

賛否両論 意見が出ているそうだけど、
チャン・ナンガムの少年時代を
ディープフェイク(CG)加工で、
本物のソック少年期と見紛う演出は、
(監督曰く『リアリティを持たせるため』)
ソックファン目線の私には、
個人的に嬉しい演出だったし、
こうした技法もあるのかと感心したけど。
演じた役者の立場に立てば、例え子役でも
無名でも、一生懸命演じたシーンが顔だけ
CG加工で変えられてしまうなんて、
役者のプライド的に嫌だろうね。

ソン・チョン役を演じたイ・ヒジュンの
不気味な怪演も 老け役の化けっぷりも
あっぱれでした。
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