うにたべたい

緊急指令10-4・10-10のうにたべたいのレビュー・感想・評価

緊急指令10-4・10-10(1972年製作のドラマ)
4.3
シルバー仮面やライオン丸、バロム・1、変身忍者嵐、キカイダーなどなど、1970年代前半は今なお語られる伝説的特撮ドラマが数多く放映された時期でした。
そんな中で放映された円谷プロの特撮ドラマです。

怪奇大作戦を児童向けにアレンジしたものと公式でいわれている通り、内容は明るい怪奇大作戦といった感じです。
超パワーを持った戦士は登場せず、電波特捜隊と呼ばれる有志のメンバーが集団で事態にあたります。
事件の内容は多岐にわたっていて、殺人事件の調査から設置された爆弾の捜索、大怪獣や宇宙人とも戦い、他方で、非行少女の公正に尽力を尽くします。
彼ら団体の正体は謎のままになっていて、資金はどこから出ているのか、なぜそんな権限を持っているのか、そもそもこの団体は何なのかなど、語られないまま終わりました。
『電波特捜隊』という名称すら設定上の呼び名で作中は登場せず、リーダーの名を取って"毛利チーム"と呼ばれていました。

CB無線で連絡を取り合っていて、依頼元は毛利チームに無線でつなぎ相談を持ちかけます。
CB無線をやっている一般人へ、危険生物や特定ナンバーの車を捜索するため、電波網を駆使して協力を呼びかけるシーンがありました。
そういったシーンがあると、自分の身近に日本の裏組織へのコネクターがあるようでワクワクしますね。
普通の少年が、主婦が、サラリーマンが、呼びかけに応じて手助けに走るシーンがかっこいいです。
ちなみにタイトルの"10-4"と"10-10"は、CB無線のテン・コードから取っているらしく、作中では"10-4"→"了解"、"10-10"→"通信終了"の意味で使用していました。
正しいテン・コードとは意味が違うようですが、このテン・コードもスパイの暗号のようでなんとなくかっこいい。
難事件を私設組織が、秘密裏に、そして鮮やかに解決する、冒険活劇的な特撮ドラマです。

基本的には爽やかな内容ですが、実は結構怖い話が多いのも魅力ですね。
というか、第一話から巨大な肉食植物に飼い主の眼の前で子犬が食われるという衝撃展開で幕を上げます。
一話目だから仕方ないと思いつだったのですが、その後も、知能指数が高い動物が自殺したり、子供だろうと容赦なく怪物に溶かされ殺されるという、ある意味、怪奇大作戦よりも激しいストーリーが多々あります。
罪のない人がとばっちりで殺されても、最後はめでたしめでたしで終わらせる強引さがあります。
そのゆるさも含めて、この時代の特撮はおおらかさと自由があって、楽しいですね。
名作の中で埋もれた感じがありますが、個人的にはとても好きな作品です。