キラリ

下剋上球児のキラリのレビュー・感想・評価

下剋上球児(2023年製作のドラマ)
3.8
“あなたたちは一度も失敗はないのか? 私は失敗だらけですよ”

今季No.1ドラマ!最終回ラストの悲願の甲子園初出場を飾ったシーンは、甲子園球場の緑色に染まった満員のアルプススタンドと大歓声も相まって圧巻だった。

生徒の成長とともに教師の成長も描かれていたのが、単なるスポ根ドラマとは違う本作の特徴だったと思う。序盤の数回は、全体的に不穏な空気に包まれていて、南雲監督の過去の秘密や家庭事情が徐々に明るみになっていくことに対し、「それ必要?」とネガティブな感想を持ってしまっていたが、回を重ねるうちに気付いたこととして、たとえ人間過ちを起こしてしまったとしても真摯に反省して何事に対してもひたむきに向き合っていけば、それを支えてくれる人もでてきて本人もセカンドチャンスを得ることができる、そのことをドラマを通して伝えたかったのかなと感じた。生徒も未熟な部分はあるけど、同じく教師も未熟であり決して完璧な人間ではない。その「不完全さ」に対し、本人と周りがどう向き合っていくかが丁寧に描かれていた作品だった。

鈴木亮平×黒木華の絶対的に信頼できるコンビに当初から期待大だったけど、実際演技力はさすがの一言。黒木華はスポーツ系もいけるのね!とどんな役でも物にするあの卓越した演技力には脱帽だった。鈴木亮平も普段は先生と監督の顔なのに、松平健の前では完全に生徒の顔になるあの感じ、表情と姿勢で全く別人にみせる演技たるや。そして、小日向さんや生瀬さんなど錚々たる顔ぶれと共演した未だ演技経験の浅い野球部のみんな。彼らの魂のこもった人間ドラマに私はとにかく釘付けになってしまい、感情移入しすぎて、一人一人のファンになってしまった。ラスト2話の試合のシーンは胸熱で、勝った瞬間には目頭が熱くなってしまったほど。
キラリ

キラリ