KHinoji

透明なゆりかごのKHinojiのレビュー・感想・評価

透明なゆりかご(2018年製作のドラマ)
4.0
NHK地上波の再放送で初視聴。
こんな出来の良い作品を見逃していたとは、少々反省させられました。2018年の作品だったのですね。
原作はマンガで、作者(女性)の実体験を基にしたフィクション。現在も雑誌連載中。(私は未読)

タイトルの「透明なゆりかご」の意味は、産婦人科では生まれてくる命もあれば、亡くなってしまう命もある。生まれてくる命には現実のゆりかごが与えられるだろうが、生まれてこなかった命に与えることが出来るのは実在しないゆりかご、透明なゆりかごである。このストーリーは、産婦人科での、辛い側面をあえて考えようとする物語です。

(昨年の放送当時に見逃してしまった原因の一つは、このタイトルではどういう内容か私にはサッパリ分からなかったことにあるとい思います)

ドラマ版の主人公は、医師や看護師ですらないバイトの看護師見習い。准看護学科に通うJKではあるけど、視聴者と同じ素人の視線から産婦人科の厳しい実態に接していくことになる。

このTVドラマの評価が高いのは、次々と起こってしまう悲劇と、それに対するなけなしの希望の存在がうまくバランスしているからでしょう。悲劇だけだと重いだけだし、ありきたりに美化されたハッピーエンドでは掃いて捨てるほどある既存の医療ドラマと同じになってしまいます。
このドラマは、よく練られた巧妙なストーリーと演出で、予想を遥かに超える内容の濃い作品になっていますので、ぜひ実際に見てみましょう。

おおむね1話1エピソードで、見ごたえがありすぎて毎回疲れてしまうかもしれませんが、毎回のゲストも面白かったりましますので。

主演ヒロインの清原果耶は、いかにもNHKが好みそうな悩める良い子キャラを演じられていると思いました。今後も期待。

主題歌は Chara「せつないもの」、旨く使っていますね。音楽は 清水靖晃、変に騒がしくなくて良いですよね。

(2019/8 地上波再放送にて全10回、主に録画で)
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