toriten45

FARGO/ファーゴ シーズン3のtoriten45のレビュー・感想・評価

FARGO/ファーゴ シーズン3(2017年製作のドラマ)
4.1
ドラマ『ファーゴ』('14〜)の醍醐味は、どこにでもいそうな人が、ついつい“やっちまった”些細なことをきっかけに、こじれにこじれてとんでもないことに発展してしまうところにあります。

シーズン5まで続いていますが、1シーズン単品のアンソロジーなので、どのシリーズから見始めでも大丈夫。私的な楽しさランキングは1→2→3ですけど今のところ全部好き。

今回のシーズン3もこ流れは同じたけど、主役はなんとユアン・マクレガー。しかも双子の兄弟を一人二役で演じてます。彼は本作でゴールデングローブ賞を受賞したみたい。

このシリーズはそもそもどのシーズンもキャスティングが絶妙ですね。

シーズン1は冴えない保険セールスマンを『ホビット』シリーズ(’12〜'14)主役のマーティン・フリーマンが演じてました。ついつい殺し屋に口を滑らしたことで連続殺人事件に巻き込まれてゆく男の話。

シーズン2の主役は『パワー・オブ・ザ・ドッグ』('21)に出演したキルスティン・ダンスト。マフィアのボスの息子を運転を誤ってひき殺してしまう、追われる立場だけど少し普通じゃないのが絶妙な美容師の話でした。

そしてシーズン3。『ファーゴ』らしい凍てつく冬のミネソタ州が舞台。ユアン・マクレガーの冴えない男っぷりが冴え渡っていました。勝ち組の兄とそうでない弟の確執と、兄の会社を乗っ取ろうとする怪しい犯罪組織との騒動を描きます(どっちもユアン)。

今回の“怪しいヤツ”は『ハリー・ポッター』シリーズ('01〜'11)でリーマス・ルーピン先生を演じたデヴィッド・シューリスで、これがまた本当に胸くそ悪い“怪しいヤツ”というより邪悪な存在と言った方があってそう。そういえば毎シリーズ“邪悪なヤツ”が一人登場するのも本シリーズのお約束ですね。

あと毎回メインで登場する警察官は今回も数少ない“善良な人”で、胸糞ワールドの一服の清涼剤な存在。今回はキャリー・クーンが演じていました。ゴーン・ガール('14)の双子の妹役を演じていた人と同じ人なのですね。気づきませんでした。

ストーリーは予想のつかない展開と登場人物の作り込まれたキャラクターによって、十分に楽しむことできました。アニメの劇中劇があっていいアクセントになってましたね(“I can help!”が頭にこびりついています)。ただ、それだけにラストは爽快に感じさせるカタルシスがなかったのが残念かな。でも、少しだけモヤモヤを残してラストを迎えるのがこのシリーズの良いところかも知れませんね。
toriten45

toriten45