Pam

レアの7つの人生のPamのレビュー・感想・評価

レアの7つの人生(2022年製作のドラマ)
4.2
『ロシアンドール』と同じくループ&ドラッグもの。しかもフランスの南仏の田舎のベルダン峡谷あたりというから、ニースから車で2時間ぐらい、リヨンへも4時間ぐらいかかるかなりほんとうの田舎の話。

Lea 役の女優さんが、あの l'artiste のジャン・デュジャルダンと共演した女優の娘であるってことからしてかなりの美形。アンディーマクドウェルの、娘もお母さん以上に美形である感じで、この子も、ボケっとしてる感じはするけど、綺麗だからすっと見ていられる。(個人的にラテンと白人のハーフは大好き)

物語はループもの、過去もの、というべきか、ロシアンドールが死んでも死んでも、元のトイレに戻ったり、地下鉄のタイムスリップなら、これは7日間の夜に、自分が生まれる前の1991年の7日間に戻り、両親の高校生時代の人たちに輪廻してしまうという、『羅生門』『転校生』『ロシアンドール』というべきか、面白い演出。過去の人たちに現代のJKが入ってしまうときのひとりごとが現代語だったりおもしろい。両親の秘密をめぐり、なかなかサスペンスが解決しないのもおもしろかった。

理屈はやはり過去を変えてしまうと将来が変わってしまうので、タイムトラベルをするLeaも最初は歴史をかえられなかったんだけど7日目に当時起こった銃殺事件を回避させることで自分の存在をけしてしまうという実は存在さえなくなる考えさせらるはなし。

フランスの地方の排他的な社会、田舎の若者のパワーの限界、見えてくる各家庭の問題、閉塞感、ひどい差別主義者たち、都会と同じマテリアリストたち(商品はどんどん入ってくる)それでも、変わらない生活、変わらない景色、。。。かなりこのドラマはいまのフランスの田舎を見せていて嬉しくなった。多くのフランスの田舎映画は田舎を理想化しすぎて、ほのぼのとピトレスクな、外国人が見たいフランスの田舎をおおくえがいてきたが、このドラマの地方に生きる高校生たちのフラストレーションをしっかり描いていて好感がもてる。ただ、この時代の高校生はまさに私の世代なのだが、うーん。1991年ならもうちょっとフランスってレトロだった気もするけど、まいっか。

モロッコ系(アラブとしかいってないが明らかに、主人公のイスマエルの顔からしてモロッコっぽい)の果樹園季節労働者、その大型農園で働く労働者、経営者家族、同性愛のカミングアウト、あと車椅子の親友、などいろいろ散りばめていたのは現代的だといってもいい。気候変動こそなかったけどフランスの高校生のタバコは公立ではほぼ黙認だからね。。

ただ、、やはりちょっといやなのは、車椅子の女優さんは決して車椅子でもないし、健常者が車椅子の演技をしているのはやはりもうちょっと勘弁かなという気もした。私は車椅子の親戚がいるのでやはりああゆう健常者の車椅子はちょっと違うんだよね。。そこは残念だったかなぁ。学校でひとりで来るような子なら、もっといい車椅子(半電動みたいの)を使ってることが多いので、そういう視点で見るとちょっとまだまだかなとおもった。でも登場させてくれただけでも進歩だよ。

それでも、テーマとしてビジュルアルにしっかりいれてるのはやはりフランスも頑張ってるなとそういう点で私は高得点です。
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