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私の解放日誌のsandyのレビュー・感想・評価

私の解放日誌(2022年製作のドラマ)
4.2
この作品を見て知ったこといくつか。

・マイディアミスターの脚本家パク・ヘヨンの作品と途中で知って、そのトーンに納得。

・ソンソックが私を崇めなさいというセリフをいうために参加したとのこと。

・同時期に私たちのブルースが配信されていた。


ドラマは退屈な田舎に暮らし毎朝ソウルに出勤する三兄弟の日常を描き、何とか今の状況を変えたいと思っている閉塞感の強いトーンで展開していく。
その家族と食事を共にする得体の知れないク氏という男は歳を取った父親の工場と畑を手伝っている。

キム・ジウォン演じる次女は口数の少ないこの男と関わるうちに自分のことを話し始める。仕事や元カレとの出来事を通じて自分を分析し愚かだが芯のある自分を励ますかのように。
そして、ある日アル中気味のこの男に対して私を崇めなさいと言い放つのだが、この時のキム・ジウォンは、太陽の末裔の彼女でもなく、サム・マイウェイの彼女でもない、郊外に地味に暮らしているヨム・ミジョンなのだ。

そしてこの男、どうやらワケアリの人生を歩んできたらしいと途中から話が展開していく。
ある日家族総出で、畑仕事をしていた時、ミジョンの麦わら帽子が風に飛ばされ広い側溝の向こう側に落ちる。帽子を拾うために男が側溝を全速力で跳び越えるシーンがスローモーションで映し出される。息をのむその瞬間から、男を含む登場人物たちが動き始めていくとても印象的なシーンである。

この男、ソン・ソックという俳優は、男前とは言い難いが色気がある。
男前の笑顔は作り笑顔に近い感じがするのだが、こういう顔立ちの男の笑顔には嘘がない感じがする。無口な上に愛想もないク氏はその雰囲気だけで、周りと会話している。こういう人物を描くのはこの脚本家の得意とするところだ。

ク氏と対照的なのがイ・ミンギ演じるチャンヒ。
田舎によくいそうな近所付き合いもそこそここなす優しいにいちゃん。
ク氏を兄のように慕う。
チャンヒが起こしたあることがきっかけで、ク氏に追いかけ回される場面があるのだが、シリアスなトーンのドラマの中で唯一と言っていいくらい笑えるシーン。セリフがなくただ男たちが追いかけ追いかけられるシーン。
長めに撮られていて心地よい。

さて、このドラマ同時期配信の私たちのブルースが錚々たる役者を揃えてノ・ヒギョン脚本で華やかに光を放っていて、ともすれば解放日誌は地味すぎて早々に見るのをやめてしまうかなぁと思った時もあったのが、蓋を開けてみればどちらも気になって仕方がないドラマとなっていた。

韓国ドラマ特有の周辺の人物も丁寧に描いていく手法が日本のドラマと違って厚みを持たせているのかも知れない。
脇役の役者たちのストーリーが生き生きと描かれるのも面白いのである。


このドラマ後に、イミンギとチョンソミンのこの恋は初めてだからを鑑賞してイミンギを堪能。
長女役のイエルは、トッケビの死神役だと後からわかった。
ソンソックは、DPの職業軍人役、犯罪都市2に出演中、映画、恋愛の抜けたロマンス、も日本で公開と、今が旬の人なのであった。
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