映画ケーン

響け!ユーフォニアムの映画ケーンのレビュー・感想・評価

響け!ユーフォニアム(2015年製作のアニメ)
4.3


音楽という狂気へ、足を踏み入れる



ユーフォニアムというこのアニメで初めて聞く楽器を主人公が吹く。
主人公久美子は若干人を見下し感があってしかもそれを口に出してしまう(この人間性はもっと掘って欲しかったな)。

現実との対峙みたいな内容は面白かったし、それで生まれるコンクールに出れない先輩の苦悩も面白い。登場人物が多いのも。
ただ、やり残した事も多い様に思う。恋愛だとかサファイアと葉月ちゃんとかとの友情とか。少し触れる割には何も無い。

あと、アニメの手ブレ表現はどうも好きになれない。
アニメは実写と違って構図を作る際の物理的な制約が無い所が良くて決まった絵を作りやすいのに、「それっぽい」みたいな感情的な理由でブレさせるのは勿体無いと思う。
ピンボケも。エモいかもしれんけど、全部にピントが合った情報量が異常なエマニュエル・ルベツキ的な絵の方が面白いと思う。

でも、それら以上に、高坂との話が面白過ぎて良かった。
他の人達が恋をしている中、主人公久美子は高坂と「特別」へ向かって行く。
月に手を伸ばす、それは狂気に手を伸ばすという事。ピンク・フロイドの『狂気(原題:The Dark Side of the Moon)』のタイトルからも分かる様に、月は狂気のメタファーとして使われる。
高坂と仲良くなるとはそういう事。近寄り難くて常にひとりの彼女に近付くという事は常人には出来ない世界へ踏み入れるという事。
残酷な現実と直面した際、挫けそうな中、俺達はどうしたら良いのか。「『特別』になれ!」と言う。それは気休めや慰めの「特別」じゃない。自力で「特別」を掴み取れ!世界に一つの花とか言って俺達を唆すんじゃねぇ!
…っと、こう言ってる訳でございます。
だから、映画やシーズン2ではその狂気の世界を京アニの絵で見せてくれると俺は期待してるからな!!

あとあすか先輩可愛い😍
人としても尊敬します

アニメ史的に言ったら『けいおん!』の方が重要かもしれないけど、僕は断然こっちの方が好き。
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