映画大好きそーやさん

ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~の映画大好きそーやさんのレビュー・感想・評価

4.2
神クオリティでお届けされる、ポップで色彩豊かなポストアポカリプスゾンビもの!
大分と前に観終わっていましたが、流石にこれは記録を残しておきたいと思い、今さらながらレビューを書くことにしました。
作品全体を構成する要素はどれも高水準なものとなっており、とにかく目を引く作画、描かれるテーマ性の強度、各キャラクターが織り成すドラマ等々と、全てが有機的に絡み合って途轍もない満足感を得ることができるアニメーション作品となっていました。
度重なる延期で本作を見限った方も多いかとは思います。ただそのような外見、本質でないところで本作の評価を決めてしまうのは非常に勿体ない行為だと思います。
確かに、延期以外に嫌煙される要素の、ご都合的な展開もありますし、ああいった世界観の作品においての、主人公やその一行のメンタル、行動のリアリティのなさ、危機感のなさが気になる方のお気持ちも理解します。
ただやはりそこに本質はなく、ああいった世界だからこその、ある種カウンターとして描ける虚構、アニメーションの面白味を観ていく、評価する方には刺さった作品なのではないかと思った次第です。
普段そういった見方をしない方でも、本作に限ってはそう観ていくことを強くオススメします。
1話や5話を始めとした、軽快なカメラワークと丁寧かつエネルギッシュな演出による圧巻の作画を拝むこともできますし(ルックもペンキ然とした配色の血が世界を彩っていて、何より目が楽しいですし)、人生の意味や向き合い方の本質を、それこそ漫画的と言いますか、コミカルさ、寓話性を帯びながらも全編を通じて多角的に描けていました。
また、アキラたち主要なキャラクターは当然として、脇を固めるキャラクターたちまでよく練られた配置と役割になっていて、できすぎ感は認めつつもその点以外の出来の良さを鑑みて、概ね良い印象を抱きました。
描写や展開として、キャラクター性や心情の変化を描くということがしっかりできていて、鑑賞中純粋なストーリーテリングの上手さを感じ続けていました。
特に、最終章として設けられた「ホームタウン オブ ザ デッド」は、端的に1クール通してのキャラクターの心情の変化や成長を実体化する展開となっていて、敵方のバックボーン含め高い共感性とカタルシスを味わえる、素晴らしい章となっていました。
総じて、漫画的なケレン味を感じられながらも、普遍的なテーマ性を含んでお届けされる、良作アニメーションでした!