丁字路

デキる猫は今日も憂鬱の丁字路のレビュー・感想・評価

デキる猫は今日も憂鬱(2023年製作のアニメ)
4.2
読み口が「家政夫のナギサさん」や「はぐちさん」系統に近いところがある。
限界になった人間との生活をコメディタッチで描いている。

諭吉に会う前の幸来がいつ倒れてもおかしくなような形だったこともあり、ほのぼのとした作風でありながら、日本の労働システムと家事の両立は無理があるのだということを突き付けてくる。

結婚が遅れる~とか貰い手が~という話を幸来と諭吉双方がちらほら出しているが、結婚生活っぽいことも恋人っぽいことも既にしているので「いやいやこの二人ほぼ結婚してるじゃん」っというツッコミ待ちの作品かな?と思った。
幸来がパートナーに求めそうなこと全てを諭吉が持っている。
というか幸来が諭吉に対して親くらい甘えている。そして諭吉も幸来を甘やかしたり心配したりしているのでほんのり共依存な感じもする…

「あくまでペットが頑張ってます」というアプローチは一般誌に乗せるための方便で、実はほのぼの異種婚姻譚として描いてるのではないだろうか…という気持ちになるくらい恋人以上の関係性に見える。
一般的な展開でいえば部長との間に恋愛感情が生まれていてもおかしくないところで、全くそういう雰囲気にならないのが良い。

「婚期」などのワードも出てくるが、あくまで周囲の人間の価値観であり、幸来自身はそういう相手を持ちたいとも思っておらず、諭吉と一緒に暮らしている今が一番幸せ、という気持ちを作品が肯定している。既存の価値観から脱するような点は現代的で、10年前では出なかったタイプのお話かもと思った。

8話で幸来が蘭姉ちゃんばりの強さを発揮したのが良かった。
諭吉が幸来以外の人間ともいろんな関係性を築けているのが健全で嬉しい。
序盤の独特な画角など、原作と少しテイストが違うような気もするがかわいい諭吉が動いているのを拝めるだけでうれしい気持ちになるアニメ。
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