アニメは話題作ぐらいしか観ない自分でも、すっかり気に入ってしまった。
心情描写にとても共感できる。
中高生の、大人の何倍も多感な時期。
そんな時代のことなんて忘れたという大人にもおすすめ。
家庭、友達、進路、部活。あらゆる困難に、まだ上手くは対応できないしスルーもできない。大人の事情にも激しく翻弄されて自分のことが見えなくなる。
そんな辛さと切なさを過不足なく押し付けでもなく絶妙な加減で描いている。
そういえばそんな感覚だったよな、と思うことしばしば。とくにそんな経験していないけどなぜか見覚えがあるかのようなことさえある。もはや自分の記憶が塗り替えられそうなほど訴求力がある。もしかしたら、中高生で辛い思い出がある人がこれを観たら昇華できるのではと思うぐらい（もちろんその逆に追体験して辛くなる場合もあると思うけど）。
それと音楽の集団によくあるケースがしっかり描かれているので、ソロだけでなく合わせで音楽をしたことがある人はなお共感できるはず。
こだわりが強すぎる人、周りを見下してしまう人、自信がなくてフォルテが苦手な人、みんなの前で指摘されること、演奏が何度も止められるときの重い空気、下だと思っていた相手がずっと上手だったとき、相手の問題が分かるからこそ厳しく当たってしまうとき。
そして、ずっとバチバチだった友達と突然するっと上手くいくようになる瞬間、みんなに認めてもらえること、ぶつかり合っているうち何でも話せる仲になること、抱えていた問題が嘘のように消える瞬間、共通点を知って理解しあうようになること。
彼らは大人のように、まあ世の中こんなもんだよな、と妥協することを知らない。まあ他人だしどうでもいいかと見過ごすこともない。
全部全力で受け止め、自分のこととして毎日考える。
自分にも他人にもその他の社会にも徹底的に向き合う。
もちろん音楽もたくさん。多くは練習の音だけど、それを経ていざ合わせたときの音が感慨深い。
実際に高校生たちが演奏しているとか。
音楽に詳しくなくてもついていける内容。特に専門的な言い方でなく、誰でも分かるよう感覚的な言い方をしてくれている。
