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進撃の巨人 Season1のNMのレビュー・感想・評価

進撃の巨人 Season1(2013年製作のアニメ)
3.7
敵は巨人、みんなで頑張るぞ、ヤーー!という単純のストーリーではない。
現実世界の戦争と十分共通していて大人も観られる。戦争の残酷さは現実と共通。
燃える理想とは裏腹に結果を出せない、大事な仲間が次々死ぬ、遺体すら持ち帰れない、上司も仲間も信用しきれない、しかし仲間で助け合わないといけない、命を賭けても市民から感謝どころか囲まれて非難すらされる。
削れていく人間性、薄らぐ希望、それでも戦い続けられるか。
ヒットするべくしてしているんだなあと関心するプロット。

バトル自体もいいが人間たちの心理が面白い。常に一切揺るがないようなスーパーヒーローは少なく、みな弱く迂闊でとても人間的。
魔法も必殺技もない比較的現実的な戦闘。
ただ背の高い敵と立ち合えるよう立体機動装置(スパイーダーマン方式で体を吊るワイヤーとガスジェットのようなもの)は装備しており、数十メーター程度は上下左右に素早く駆け回ることができる(ガスは一定量しか携帯できないし故障もある)。高い壁があるからこそ使える装置。

常に生死を賭けた闘いは見応えがあるが、予想だにしない展開もあり飽きない(特に主人公の抱える謎)。
ずっとクールだったり頑なだったりするキャラたちが事態の変化でついにその態度を崩す様子が涙を誘った。

実戦に動員される者も志願する者も、当然みな若者。
今日の平和は明日も保証されているのか、そうなったとき人間はどう行動するのか、どういう選別が行われ圧力がかけられていくのか。
そして上の連中や権力者たちは、恐怖と富への執着に支配され兵士や他の人間など眼中にない。
有名なセリフもたくさん出てくるしシーズン1ぐらいは観て損はないはず。ただ、数話観てああこういうアニメねと判断してしまうとそれは違うかもしれない。面白くて私はこのまま全部観そう。
ギャグシーンはかなり少なく落ち着いて観られる(急に挟まれるのでぽかんとして笑い損ねる。それも含めてシュール)。その意味でも普段アニメを観ない人におすすめできそう。
深刻な世界だがそれほどには暗くも怖くもなく観られる。といってもR15。個人的にシーズン2はややグロかった。

導入部。
人類を巨人たちから100年町を守ってきた壁だったが、ある日彼らは容易く突破してきた。
3重の壁のうち外側1枚(ウォール・マリア)が崩壊、人口は2割滅、領土も3分の1減。生き残った人類が築いていた束の間の平和は一気に崩れ去った。

巨人には3〜4m級もいれば、今回襲ってきたうちには高さ50mの壁から顔を出せるくらいの超大型もいた。
巨人は姿かたちこそ人間に似ているが、たるんだりアンバランスな体型で大抵口が大きく、意志疎通は不可で言葉も発しない、怪力で素早く、急所(うなじの肉を削ぎ落とす)以外をのどこを負傷してもすぐに再生でき、殆どが男性っぽい見た目、繁殖が盛んだが生殖器は見当たらずその方法は不明、人間以外を何も食わない、食った人間は消化したあと吐くので食事は不要らしい。

彼らは100年ぶりに人間を見つけ嬉しそうに食った。
人類は壁の中で生活してきたので、巨人についてもそもそも壁外の世界のことも殆ど知らないので、調査兵団の役割は大きい。
巨人たちの大きさや力量は様々、能力が突出している奇行種もいる。

ウォール・マリア内に住んでいた主人公のエレン・イェーガー少年は、そもそもこのカゴの中の鳥のような暮らし方に強い疑問を持っており、壁外へ遠征し調査活動をする「調査兵団」へ入りたいと望んでいた。
この日、エレンは眼の前で母を食われてしまった。
エレンは何としても敵を討ち巨人を掃討しなければならないと決意を固める。

12歳になり、幼なじみのミカサやアルミンたちとともに志願兵となったエレン。3年の訓練ののち、ここで成績上位者10名になれば内地の任務にあたる「憲兵団」への配属が許されるが、エレンは壁外へ出ていく「調査兵団」を希望している。

憲兵団(一角獣の紋章)は権限が強く、壁内の警察業務や近衛兵の役目。調査兵団(翼の紋章)は危険な任務且つ成果を得づらいため、安定した評価を得られる憲兵団のほうが市民からの人気も高い。壁の補強と有事の際の避難誘導を担う最大人数の「駐屯兵団(薔薇の紋章)」等もある。2本剣の紋章は訓練兵。)

他の訓練生たちも決して一枚岩ではなく、ただ体裁のために来た者、食べいくために来た者、王の近くで名誉ある仕事をしたい者、憲兵団に入り壁内で安全な暮らしをしたい者、内心では人類が巨人に勝てるわけがないと思っている者。

エレン少年ははじめ怒りや感情、強くなりたいという向上心、そしてまだ見ぬ外の世界への知的好奇心などに支配されていたが、やがて視野が広くなり人間的に成長していく。
エレンは憲兵団に行ける成績を収めたが、壁外へと出ていく調査兵団への配属を希望した。
そんなエレンに感化され、他の上位成績者たちも調査兵団への配属を希望した。いよいよ兵士としてのスタート地点に立てる。
心を燃やしつつ壁の補強にあたっていると、その後ろから5年ぶりに巨人が再び顔を出し第2の壁にも穴が開けられた。真っ先に標的となったエレンたち。
仲間をかばったエレンも食われてしまい絶体絶命というとき、思いがけないものが出現する。
これまで巨人だけでなく人間どうしの争いも示されてきた。
そしてエレンは自身の謎も相まって人間との闘いに巻き込まれていく。かと思えば同時に人類の希望をも一身に託される。

いよいよ本番。
エレンと、人類の運命は。

続くシーズン2も驚きの展開が待つ。
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