ユーライさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020年製作の映画)

4.3

TVシリーズ等未見で予備知識を殆ど入れずに観た。予備知識に含まれるのは「繊細な作画」と「泣ける」。まず「泣ける」という情動の曲者具合についてだが、大前提として泣ける=良い映画、では決してない。泣きは神>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.0

ノーラン童貞捨てました。明らかにバランスを欠いている。これを撮る監督が支持されて世界的に大ヒットしているのもおかしい。どうやら最新鋭のカメラで実物を使うことにこだわっているそうなのだが、画面からも伝わ>>続きを読む

ミッドウェイ(2019年製作の映画)

3.5

監督のセクシュアリティから来るのか、全編を通して男同士の二人組があらゆる箇所で発生する。その結び付きは異性間の夫婦よりも強固に見える。両軍の英雄にはなれないモブの人達がアップになって度々映し出されるの>>続きを読む

アップグレード(2018年製作の映画)

4.0

古典的と言えるだろうSF話を今時っぽいジャンル横断型にしてやり過ぎバイオレンス描写等緩いB級ノリもトッピングした贅沢な映画。機械で制御された格闘術に合わせてカメラもブンブン縦横に動くのは、杓子定規な体>>続きを読む

アンダー・ユア・ベッド(2019年製作の映画)

4.7

こういうお話が映画なんだよ!どうしようもない人間のどうしようもない話だ。
行き過ぎた結果ヒーロー映画になっている逆説的痛快さ、スタンガンを持ったショットは明らかに銃に見立てて撮っている、監督が三隅研次
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透明人間(2019年製作の映画)

3.5

執拗に水が登場するが、全編に渡って火とか湾曲したガラスみたいな不定形なイメージ、幾何学的な整然とした街並み、どちらも圧迫感の強調に貢献している。
Jホラーは未履修だが『犬鳴村』でも見た何もない空間を何
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悪人伝(2018年製作の映画)

4.7

観ている間は無類のデタラメな面白さに酔いながら終盤に行くにつれて何か考えさせられる、これぞエンターテイメントってヤツなのではないか。ステゴロからカーアクション、法廷劇まで色々ごちゃ混ぜ何でもござれの中>>続きを読む

(2020年製作の映画)

4.5

まず導入から感動させられる。自転車が、車輪が回るのは運命が駆動することの象徴なわけだ。過去に飛んで勢い余って自転車が宙に浮くとそこが「運命的」な場所である。映像で語る。自転車が宙に浮くのが映画。縦の糸>>続きを読む

破壊の日(2020年製作の映画)

3.5

豊田監督、やっぱり戻っていないか作風が、『ポルノスター』における渋谷と繋がっている感じが凄くある。現実の理不尽を架空の異形にさせてしまうのが正しくフィクションであるという気持ち。何となくバルンガとかマ>>続きを読む

コクリコ坂から(2011年製作の映画)

3.5

ただただ宛先も無い旗を上げ続けるということ。距離がある中で交感する慎ましさ、上と下は全体を通して強調され二人は疾走する!背景が見えなくなる!地味で質素な映画だ。淡泊過ぎ、少女漫画らしいリリカルな跳躍は>>続きを読む

アングスト/不安(1983年製作の映画)

3.0

「殺人鬼ってのはアレだろォ~?キャハキャハ笑いながら人殺すんだろォ~?」というものがあるが、実際に殺人鬼は犯行に及ぶ時も結構冷静だったりするし行動も終始場当たり的なんである。犬が不自然なくらい血を浴び>>続きを読む

一度も撃ってません(2020年製作の映画)

4.7

“かわいい”俳優石橋蓮司の面目躍如。昭和老人の嫌らしさから逃げずに無頼が困難となった現代にハードボイルドを再演する。阪本監督のシーンごとに適切な演出を施す手際の鮮やかさと滲み出る情感はやはり屈指。脚本>>続きを読む

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)

4.5

微熱青春映画、思うに青春映画っていうのは、ひいては観客に「頑張れ」を促す映画はいかに松岡修造的な語りを回避できるかにかかっているのではないか・・・いや松岡修造のキャラクターは嫌いじゃないですけどね。>>続きを読む

紅の流れ星(1967年製作の映画)

3.5

渡哲也百面相。何を考えているかも分からないがとにかくカッコ良いのだけは伝わる。ファーストショットのパンして白スーツの渡哲也が突っ立っている画は外国でもなければ日本でもない、すなわち日活アクションの世界>>続きを読む

日本沈没(2006年製作の映画)

4.0

1973年版の洗礼を受けた世代による俺版『日本沈没』とでも言うべき趣。「奇跡は起きます!」当人由来の引用からヤマト的な旧式メカへのフェティシズムまでこれだけ揃ってりゃ文句無し、最近話題になった(?)オ>>続きを読む