ゆきのすさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

捜査官X(2011年製作の映画)

3.2

時代設定が絶妙。まるで異世界ファンタジーを見ているような気分にも。格闘の解説(推理)が緻密にして痛快。わくわくする。カンフーアクション+推理劇にも関わらず生活や人生をも丹念に描く。

CUTIE HONEY TEARS(2016年製作の映画)

2.2

主演女優さんはなかなかハニー!悪くないです。近未来ディストピアでなくても、こんな壮大な話でなくとも、十分映えると思うのだけど。相応な舞台だったらなあ。

非常宣言(2020年製作の映画)

4.0

コロナ渦で見てきた光景を散々見せられ苦笑。私たちが極限状態にいた事を思い出させる。娯楽映画として最強レベル。最後まで1秒も息をつけない展開。個人的にダイハード以来の衝撃的面白さ。

女王蜂(1978年製作の映画)

3.0

40数年ぶりの鑑賞!市川金田一の集大成たる豪華キャスト。でも無難過ぎ。妖しさや因縁部分は物足りない。真犯人やトリックよりそこが肝。編集や台詞回しなどファンには堪らないものはある。

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

3.8

とどまる悲しみと喜び、そして飛び出す悲しみと喜び。決して結末も結論もない。周囲の人間が杓子定規に未来を強要しない事に最大の優しさを感じる。二人にしか分からない境地は厳然とある。

あの日 あの時 愛の記憶(2011年製作の映画)

3.5

過去の過ちや後悔だけでなく現在にもしっかりと向き合っている。森の中を駆け抜けつつの命懸けラブシーンが鮮烈にして感動的。場面転換や音楽の使い方などなど映画的センスが抜群。

君よ憤怒の河を渉れ(1976年製作の映画)

3.0

怒涛の展開映画決定版。逃亡者だよね。健さんならこんな罠にハマる!熊も馬も西村晃(悪徳代議士をさせたら世界一)も大活躍。中野良子の凛とした演技に惚れる。胃もたれ必至のメガ盛超娯楽大作。

愛のタリオ(2014年製作の映画)

3.0

酒女ギャンブル狂いの優男と色恋地獄の泥沼女。典型にも程がある転落&不倫&復讐劇だが洗練された映像と超展開で飽きない!純粋な愛ほど屈折する。ドク役の人も娘役の人も女優陣素晴らしいです。

影の軍隊(1969年製作の映画)

3.1

実録・レジスタンス。事象を淡々と緻密に再現。その非情と虚無を浮き彫りにする。明確な敵が存在する筈なのに見失っていく様は、現実の組織活動や国際情勢の混沌を象徴する。息苦しさの蟻地獄。

黒い罠(1958年製作の映画)

3.2

ヒッチコック的軽快な犯罪映画風だが、オーソン演ずる悪徳刑事が真の主役のノワール。影また影の映像美に、巨体が沈み浮かび咽ぶ。「あなたはもう将来を使い切ったわ」マレーネのセリフの切れ味!

共犯(2013年製作の映画)

4.0

何もかもストイック!少年少女の愚かさグロテスクさを徹底的に見つめる青春映画。己の真実に対してこのような結論に至る孤独とは。彼らの暗黒は、脆く儚く恐ろしく、そして眩し過ぎる。

知られざるマリリン・モンロー 残されたテープ(2022年製作の映画)

2.7

解釈や証言に関してはかなり眉唾だが、彼女の生涯を通じてついて回ったゴシップや死に関する疑惑がどのようなものだったかを知る事に関しては、有意義なフィルムです。

乙女の祈り(1994年製作の映画)

3.2

思春期というより幼い妄想と危うい思い込み。ここまでエスカレートするのはむしろ奇跡的だろうが、純粋な魂の昇華なのは間違いない。今時な映像とハリウッド的演出に逆に戸惑ってしまった。

主婦マリーがしたこと(1988年製作の映画)

3.8

裁くのは男(男中心の社会)である事は今も同じ。人はどこまで善良でいられるのか? 国家や悪事に加担し、既得権に依存する人だけが報われるような時代が続く。善性とは何かは、問われ続けてる。

マリリン 7日間の恋(2011年製作の映画)

3.1

どこから見てもミシェル、どこから見てもマリリンの不思議。恋だったのかなあ?と思いつつ恋だったと信じてみたい気持ちも湧いてくるファンタジー。マリリンモンローはまさに稀代のトリックスター。

レベル16 服従の少女たち(2018年製作の映画)

2.7

もう一工夫欲しいと思うのは、この手の純粋培養人間ものを見慣れてしまったからかも。完全決着つける姿勢はいいが、中盤までの緊迫感が後半のチープな屋外シーンとまさかの真相で台無しのような。

ジョンとメリー(1969年製作の映画)

3.8

どうして一緒にいたいのか分からないが、なんか一緒にいたい、いなければいけない感覚。こういう馴れ初めもありだなぁ。ミアファローがキュート過ぎ!モノローグが邪魔じゃない稀有な作品。

ブッシュウィック-武装都市-(2017年製作の映画)

3.0

仲間を見つけた!銃を手に入れた!道具をゲットした!リアルタイムサバイバルゲーム的。市街地がいきなり戦場になったり、市民対軍隊を描いたり、意外?な結末も。かなり斬新。見所はあり。

ペン偽らず 暴力の街(1950年製作の映画)

3.3

公権力の不正と暴力。「人々がもし気を許すなら、この忌わしい歴史は再び繰り返されるであろう」何回も手を変え品を変え繰り返され続けてる事に呆然唖然するばかり。映画人役者陣の気骨!!

海辺の金魚(2021年製作の映画)

2.9

金魚は大海で生きられるのか? その答えを暗示する部分に苦しい気持ちになる。孤児院で育つ子どもたちの厳しさの一端を。「いい子じゃなくてもいいんだよ」噛み締めるべき言葉はこれなんだろう。

マルティニークからの祈り(2014年製作の映画)

2.9

ドヨン〜。ただ荷物を外国に運んだだけなのに!(それが麻薬だったのだが)。言葉も気持ちも通じず、訴えを黙殺される恐怖と不安と絶望。ドヨンの役の幅広さに驚愕。感動よりどこまでも辛い。

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

4.4

雨の美しさ。「音」の荘厳さ。ヘッドフォン推奨。続けて2回見た。天才たちが響き合い轟き合う。ペーパームーンの連弾場面がお気に入り。原作の再構成再構築省略のお手本。心を動かされるとは!

あ・うん(1989年製作の映画)

3.0

お正月は向田邦子ものでしょう。「俺はすけべだよ!」高倉健の浮気の理由が凄すぎる。全くもってそつのない降旗節。無難すぎる気も。オリジナル版('80)と久世光彦演出版('00)が猛烈に見たくなる。

(1955年製作の映画)

4.2

2022見納め。賛否も印象も解釈も人それぞれだろうとつくづく。悪人を悪人として描ききった(と、私は解釈する)稀有な作品。彼の靴の中からお金が出てきたことにホッとした(そんな自分に愕然)。誰かと語り合い>>続きを読む

ある海辺の詩人 小さなヴェニスで(2011年製作の映画)

4.5

異国の出稼ぎ労働者に関する社会派ドラマ。愛とも友情とも異なる心の邂逅。詩情溢れる視線が描くのは、無情と救い。様々な水の表現が世の理を吐露する。静かに激しく強く厳しく優しく世界を見つめた渾身の一作と思う>>続きを読む

愚行録(2017年製作の映画)

3.6

「ある男」で注目した監督の作品を。冷酷冷徹になり得る我々の素質資質を冷静に描く。できすぎやり過ぎ感強めだが抜群の吸引力。そして頭抜けた構成力に画面力。この監督は本当に力のある仕事をする。

ある男(2022年製作の映画)

4.0

差別や人の尊厳等思想方向に尖った社会派作を要約しつつ見事に劇映画化。虐げられそれでも生きる人々の悲痛を間違いなく聞くだろう。時に大胆でそして繊細な演出脚本構成力、うますぎ。この監督は只者ではないと唸り>>続きを読む

悪い種子(たね)(1956年製作の映画)

3.9

舞台劇の面白さを巧みに映画化(カーテンコールいい!)。凶悪事件を続ける幼い娘。遺伝という幻想に追い詰められる母。観客も疑心暗鬼に陥るのはタイトルのミスリードだけでなく、我々の底に潜む衝動への恐怖からだ>>続きを読む

欲望の行方(2017年製作の映画)

3.0

ブルーバレンタインを彷彿させるある家族の現在と過去。新しい結婚観家族観を提示しつつ普遍的な夫婦、親子のすれ違いを丁寧に描いている。もちろん邦題詐欺なのだが、原題はかなりネタバレ笑

声もなく(2020年製作の映画)

4.2

誘拐監禁拷問殺人と凶悪犯罪のオンパレードだが、牧歌的風景とほのぼのシーンから漂うのは楽園。負の連鎖をより重くしていく秀逸な演出と感じる。貧困と暴力、無知と素朴な愛情が刻む現代の黙示録。激しく打たれた。

麦の穂をゆらす風(2006年製作の映画)

4.0

人間らしい生活や人生を送りたいだけなのだ。宗教、民族、国家、資本は必ず暴走する。人はそれに引かれ抗えない。引き裂かれ苦悶する兄弟。「誰と戦うかは簡単に分かる。何のために戦うかをよく考えろ」戦わないとい>>続きを読む

わが青春のマリアンヌ(1955年製作の映画)

3.4

湖畔の古城に集う少年達と謎の美女。後作に多大な影響を与えた幻想ロマン。アグレッシブなシーンも多く今でも刺激的。「若者は幻影を追いかけるものだ」これに尽きるが、思春期の迷走の全てが詰まってる。

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

4.0

「名乗るほどの者ではないですが」一度言ってみたい台詞になった。やさぐれ永野さんがたまらない。喪失と後悔に対する自分なりのケジメ。締め方最高!で、チャッチャーン♪

メカゴジラの逆襲(1975年製作の映画)

3.0

サイボーグの悲劇がメインのドラマ部分がよい。でもメカゴジラがカッコ良すぎてそこに全力の構成。重力どうなってんだ!火力すげぇ!の戦闘場面。ゴジラの動きは完全に人間(笑)。成程の怪獣プロレスではある。

ゲート・トゥ・ヘヴン(2003年製作の映画)

2.9

空港の裏側に生きる密入国者たちのドタバタなロマンチック劇だが、シビアな問題が明確に見える事で世界が常に崩れかけてる印象。いつでも絶対とことんハッピーエンドのへルマー節は健在。

少年の君(2019年製作の映画)

4.2

「ドブに住んでも星空を眺める者はいる」「君は世界を守れ。俺は君を守る」受験という狂熱、いじめという病、社会という生き地獄。そこに生まれた小さな愛と絶望の先にあるのは。岩井俊二リスペクト溢れる青春映画の>>続きを読む