ゆきのすさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

氷点(1966年製作の映画)

3.1

天使陽子と悪魔たち。登場人物全員異常!笑 その振る舞い行動言動から目が離せません。いわゆる大映ドラマ的エキスてんこ盛り。こんなところに源流が!血統という恩讐は人を狂わせる。

さよなら、アドルフ(2012年製作の映画)

3.7

戦争末期、どこかの国の王様も死んでいたら同じような事が起こっていたのでは。誇りという無責任な概念に戸惑いを隠せない。世界がひっくり返る重く切なく辛い旅。いい子になんかなるなよ!

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.0

序盤30分がクライマックス!イナズマンやロボット刑事K等石森祭り的な意味では楽しめた。政府公認設定にげんなり。理屈っぽい説明にはうんざり。鈴木清順風の画作りや演出は、もっとやれ〜と思ってにやにやしまし>>続きを読む

迫り来る嵐(2017年製作の映画)

3.4

物語を煙に巻く事で大きなものを厳しく批判する。どこにも行けない彼らのしでかす泥沼の空回り。自作自演のようになる殺人事件への関与。嵐とは、巨大な権力とそれに飲み込まれてしまう国民と国土のことではないか。

ソニはご機嫌ななめ(2013年製作の映画)

3.3

ソニよりも周りの男たちのリアリズム。現実の人々の会話にはキレなど感じる事は滅多になく、側から見るとほぼグダグダであるという事を思い知る事ができるホンサンス節を満喫。クセになるなぁ。

清作の妻(1965年製作の映画)

4.3

結婚していちゃいちゃしまくる二人が愛おしくてたまらない。にしても忌まわしき村社会。壮絶な悲劇への容赦ない加速は人心の故。キムギドクはおそらく影響を受けている。完璧な構図の連続。大傑作。

ウィッカーマン(1973年製作の映画)

3.3

田舎あるある!というと言い過ぎ? カルトというより土着。逆らったり首を突っ込み過ぎるとどうなるか。楳図かずお的空恐ろしさ(寒々とした風景や不条理)をぞわぞわと感じつつ視聴した。

京義線(キョンイセン)(2006年製作の映画)

3.0

不倫女性と飛び込まれた地下鉄運転手の一夜。ロマンポルノ風だったらリアリティがあったかなと。いい話でありライトなファンタジー。もっとどろどろして!と思って見てしまう私は汚れている〜。

日の丸~寺山修司40年目の挑発~(2022年製作の映画)

3.0

あくまでドキュメンタリー「日の丸」に関する作品であった方が、より今が見えて来る構造になった気がする。当時の質問者たちのその後が最も興味深かった。今現在が、挑発が足りない(できない)時代だと痛感した。

ぐるりのこと。(2008年製作の映画)

3.8

コミュニケーションの難しさ。家族という他人。心が汗や涙を流す。ラブシーン(鼻ペロ・小さい手のところ。アドリブに見えてしまう)は確かに秀逸! 時代背景とか年代世代的なものやらでガツンと。

凍える牙(2012年製作の映画)

2.9

粗暴でやさぐれつつも正義感と情で動く昔ながらの刑事像を余す事なく演じるガンホを堪能する作品。本当に繰り返し見てきた復讐絡みの人情話には辟易するが、美女と野獣は相性がいいようだ。

ANIARA アニアーラ(2018年製作の映画)

2.8

人間に必要なのは、絶望なのか希望なのか。ハリウッド作ではありえない地味キャストにはツボる。妙なリアリティがある。人は想像の斜め上を行く狂い方をする。宇宙はそんな我々を受容する…?

赤い天使(1966年製作の映画)

4.6

戦場での性を真正面から扱う知る限り唯一無二の作品。従軍看護婦、慰安婦の実態に迫りつつ人間の尊厳と狂気を浮き彫りにする。メロドラマとしての側面もあるが、恋愛もまた狂気と捉えるかどうかは見る者によるだろう>>続きを読む

グリーンランドー地球最後の2日間ー(2020年製作の映画)

3.0

エゴイズムを総動員しないと生き残れないのか? そこまでして生き残りたいのか?人間の醜さを散々見せつけられると、人類なんて消滅してもいいって気分になるよ。ある意味清々しい程我儘勝手な家族の物語。面白くな>>続きを読む

素敵な歌と舟はゆく(1999年製作の映画)

3.9

アルトマンの群像劇とどこか共通するが対極的。底抜けのおおらかさは、もはや異世界ファンタジー級。お父さん(監督)が友人(ホームレス)と家出をするところ(withわんこ)が本当に楽しい。人生は、酒と犬と舟>>続きを読む

とうもろこしの島(2014年製作の映画)

3.8

兵士の振る舞いや少女の抗えない大人への成長は、戦時下であっても人は人であるという哀しみだ。人の営みも、争いと共に永遠に繰り返されていく。輪廻とか諸行無常とか仏教的諦念を強く感じる。

若葉のころ(2015年製作の映画)

3.3

なんという青春映画!大林宣彦ばりのノスタルジー大炸裂。10代の少年少女でないと表現できない印象的なカットの連続だが、役者を大仰に押し出す事なく若気の至りと美しさが溢れまくる。ちょっと見てて恥ずかしくな>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

3.2

腑に落ちない(解釈し切れない)のだが、どうにも目を離せない凄まじいばかりのメロドラマ(決してサスペンスではない) 。恋心の機微の大波小波。あっさり「恋」というタイトルをつけてしまいそうだが、別れる決心>>続きを読む

やがて来たる者へ(2009年製作の映画)

3.6

戦時下、心を壊されても希望を持てるのか、希望はあるのか。理不尽を理不尽として理解しきれない子供の視線にとてつもなく心が痛む。死線を越え無人の我が家に辿り着き見たものは、、、絶望。

3人のアンヌ(2012年製作の映画)

3.4

世界的大女優が主演でも徹頭徹尾ホンサンス映画。小走りユペールが妙にかわいい。どの台詞も、ありふれた生々しい言葉。私たちの会話がいかに支離滅裂で意味不明かを思い知らされる。現実はどこまでも間抜けなのであ>>続きを読む

アナーキスト 愛と革命の時代(2015年製作の映画)

3.0

潜入捜査サスペンスでもあるが、異色の青春映画。恋心は、国家の最大の障害に。そして愛の最大の壁が国家なのだ!どんなにもがいても政治と愛は水と油(涙)。アデルは物憂げな演技が魅力的な女優だが、何を演じても>>続きを読む

キャラメル(2007年製作の映画)

3.8

女子文化の微笑ましさとほろ苦さを味わえるガールズ映画に見えてしまいかねないが、女性差別や蔑視についての凄まじい怨念を感じる。認知症の姉が象徴するのは男社会そのもの。「女子」なる概念について考えさせられ>>続きを読む

からかい上手の高木さん(2022年製作の映画)

2.8

たまにはラブコメ保守王道に現実逃避。ついつい彼らの闇を深読みしてみたりと、私の心は汚れているなあ。高木さんの「キスして」の破壊力たるや!!瀬戸内の青に心が飛ぶ。

ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)

3.5

宇宙の理とは、過去や未来、あの世や夢や妄想、全て同じ価値を持つ次元。生きているとは勘違いで、断片的に記憶のある死なのかもね。さあ参りましょう〜。どこへ?笑 映画芸術の特異点だろう。

陽炎座(1981年製作の映画)

3.3

「幻想的」ではなく、彼岸此岸を彷徨う幻想そのもの。物語になり切らない妖艶な連続写真を見ている奇妙な感覚。美学を形にする事への執着と執念。部屋での線香花火に鬼灯の恍惚感たるや!

ベルリン陥落 1945(2008年製作の映画)

3.3

ソ連軍によるベルリン陥落前後の市民の苦難を克明に。生き残るためにした事された事、そして愛してしまった事。戦争という行為こそ「恥知らず」なのだと私は思う。

カンウォンドの恋(1998年製作の映画)

3.7

人生には(もちろん恋愛も)、大して筋や脈絡はなく、論理的でも倫理的でもなく、無駄と余分が溢れんばかり。それが人間の味だ。意味の無い事こそが意味だとでも言いたげなホンサンス演出。すき。

少女邂逅(2017年製作の映画)

3.9

痛みを知るとは、感じるとは、分け合うとは。「痛み」についてたくさんの事を考えさせらる。「人間は、放っておいたら心がどんどんきたなくなる」。汚くなってしまった私たちへの痛烈な一撃。

かしこい狗は、吠えずに笑う(2013年製作の映画)

3.8

生徒たちのリアリティさに比して、大人たちのインチキ臭さ。みかん〜たばこ〜ノーパンの場面は珠玉の萌え!前半と後半のギャップは最凶レベル。解釈がいろいろ分かれそうな構造。面白かった。

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021年製作の映画)

3.0

テロリスト側を主役に置いたという意味では画期的。原作のままアニメ化された事にびびる。どう解釈されるのか不安な気持ちになるが。「人は不正をする」だから争いが終わらないのだとしたら…。

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.8

強者の論理がまかり通る人間社会を痛烈に皮肉る。サッカー観戦シーンにバカ受け!笑 人間様は身勝手が過ぎるね。母性もまた、傲慢さの上に成り立っているという示唆も。ビジュアルが強烈。

私にも妻がいたらいいのに(2001年製作の映画)

4.0

最強ドヨン作(と思う)。バス停で無言で立ち続ける二人にキュン。ウディアレン風の洒落たラブストーリー。このタイトル、実は女性のセリフ。「妻」という幻想と古い慣習を読み解く作品でもある。

ファウスト(1994年製作の映画)

4.2

笑えないコントを延々と見ているような超シュール劇。ピルケ!パトルケ!我々が目を背けてしまうもの程よく見えてしまう奇矯極まれる作家。署名の際の小悪魔と小天使の争いのしつこさに身悶え。

パンと恋と夢(1953年製作の映画)

3.1

イタリアの田舎舞台の寅さん風ラブコメディ。自転車(バイク?)2人乗りシーンに和む。行ったり来たりが無性に楽しい。伊リアリズムもいいが、素朴な陽気さが炸裂する本作に国民性の本質を見た気が。

恐怖分子(1986年製作の映画)

2.9

難解であるものの不穏な雰囲気にどきどき。小さな悪意が関係する人々を不安と疑心に貶めていく様。映画という虚構がどこまで嘘で、物語中の人々にとってどこまで真実なのか煙に巻いてくる。

みかんの丘(2013年製作の映画)

4.4

何が違うのか。何も違わない。ただそれだけだ。いがみ合うように情報操作(洗脳)され、戦争の当事者となる善良な人々のリアリティ。みかんの丘のできごとは、人間と自分の発見。傑作。