ゆいこさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ゆいこ

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天国から来たチャンピオン(1978年製作の映画)

3.7

ベタな展開を想像すると、それを裏切られたような気がした本作。
その”裏切り”が、果たして歓迎されるべきものかどうか...。
多くのレビューに見受けられる通り、一番大きな悲しみを味わう事になったのは(当
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カンバセーション…盗聴…(1973年製作の映画)

3.7

終始流れる不穏な音、BGM。
プロとして完璧に引いたはずの線が、ある言葉をもって次第にぶれていくうち、狂気に蝕まれていく。
その緊迫感から、最後まで決して目が離せなかった。
どことなく後味の悪いラスト
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ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)

3.8

圧巻のダンスシーン。
これをスクリーンで観られただけで、久しぶりに劇場に足を運んだ甲斐があったというもの。
才能の有無に関わらず、夢に向かう姿は逞しく美しい。
恐らく初めて迎えたであろう大きな挫折を経
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トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

3.8

主演のジュリエット・ビノシュが儚げでありながらも凛としてひたすらに美しい。
青の透明感と彼女の印象がピタリと一致して、永遠に眺めていたい画が果てしなく続いた。
時折激しくかき鳴らされる旋律が、静かに波
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愛しのロクサーヌ(1987年製作の映画)

3.6

まさにラブコメといった、肩肘張らずに楽しめて、観終わった後にハッピーになれる作品。
特に恋愛においてルックスは大切(良し悪しというより好みかどうか)だと思うけど、人を心から愛するに至るには、やはり内面
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自由を我等に 4K デジタル・リマスター版(1931年製作の映画)

3.8

まさにこの作品そのものといったタイトルが素敵。
自由とは、お金でもなければ名声でもなく、また愛でもない。
=で結びつく方程式のないものこそが自由なのかな、なんて漠然と思った。
果てしない追いかけっこの
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海の上のピアニスト イタリア完全版(1998年製作の映画)

3.8

船を降りることが勇気だとすれば、降りないと決める事もまた勇気。
1900の真っ直ぐな視線の先に外の景色はどんな風に映るのか知りたかったけれど。
限りあるものから生み出される無限のものに惹かれるという心
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新婚道中記(1936年製作の映画)

3.7

素直になれない夫婦の脇を固める犬猫が助演賞モノの演技。
いい大人のどうってことの無い痴話喧嘩だけれど、なぜか心温まるような面白おかしさ。
呆れ気味に振り回されつつも、小粋に立ち回る叔母さんが素敵だった
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バックマン家の人々(1989年製作の映画)

3.8

子どもと大人、それぞれに悩みは尽きない。
登場人物誰もが身近に感じられるくらい、心情が理解出来る場面が多かった。
「2塁なんか任せるからだ」――自分自身を信じられないって本当に辛い。
自信って、多分あ
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さすらい(1975年製作の映画)

3.7

行き当たりばったりのようでいて、退屈さをも包み込むような寛大な映画に思えた。
疲れている時に観るロードムービーって、飽きてしまいそうに思うのに何故か心地良いしちょうどいい。
余白がたくさんあって、自分
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ストレイト・ストーリー(1999年製作の映画)

3.7

主人公は73歳の老人。
10年間絶縁関係にあった兄に会いにゆく、ひたすらスロウテンポで進むロードムービー。
いつから始まっているかも分からないカウントダウンにも、芝刈り機の進む速度は揺るがない。
時の
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ひまわり(1970年製作の映画)

3.8

人と人との別れは、唐突であることも多い。
あれが最後だったと思い返して切なくなる事もある。
では、これが最後と分かっていて見送る別れは、どれ程の気持ちで迎えるのだろう。
もう二度と会うことの無い最愛の
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英国王のスピーチ(2010年製作の映画)

3.8

国民の前での気丈で勇敢な振る舞いの陰には紛れもない努力があった。
国王としての計り知れないプレッシャー。
開戦を前に、それは更なるピークへと達していたはず。
ジョージ6世がライオネルの指導の元、吃音を
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彼と彼女の第2章(1995年製作の映画)

3.5

主演二人どちらも好きなんだけどな...期待はずれというか、ハマれなかった。
多分、噂話みたいに仲間内で語られながら進む展開と、それを語る仲間達のキャラクターが妙にコミカルで好きになれなかったのが原因。
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リバー・ランズ・スルー・イット(1992年製作の映画)

3.9

夏の終わりを思わせる、暑さの中に光るきらめきとじっとりと汗ばむような鬱屈とした苛立ち。
少年期から青年期にわたる兄弟二人の物語。
正反対ともいえるタイプの二人が共通して好きなものは釣り。
大物を釣った
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さよなら。いつかわかること(2007年製作の映画)

4.1

胸に染みるようなロードムービー。
スタンレーは、出征中の妻の訃報を受け、自身も耐え難い悲しみを背負いながら、二人の娘にどんな形で伝えるか苦悩する。
いつもと様子の違うスタンレーに戸惑い訝しむハイディと
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茄子 アンダルシアの夏(2003年製作の映画)

3.8

一時間にも満たない尺の中で、ギュッと凝縮されたような熱い汗と涙と輝き。
終盤にかけて加速する躍動感、よく知りもしないスポーツだったのに、いつしか手に汗握りながらぺぺを応援していた。
ジブリ作品を観てい
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愛と青春の旅だち(1982年製作の映画)

3.7

青春映画、ロマンス映画、更にはヒューマンドラマ。そのどれもに当てはまるような作品だった。
若き日の尖ったリチャード・ギア。
斜に構えたような面構えの中にも、少年らしい可愛らしさが時折見え隠れする所が良
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僕はラジオ(2003年製作の映画)

3.7

実話ベースでの映画は、身につまされるというか、一層考えさせられるものがある。
コーチの善意からの行動の元をたどれば、若かりし頃の後悔。
人間の成長って、そういう後悔や苦い思い出からかつての自分とは違う
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ファンダンゴ(1985年製作の映画)

3.8

卒業ロードムービー。
学生生活が終わるだけでなく、バカ騒ぎに夢中になった少年時代との別れをも意味する”卒業”がほろ苦い。
墓地での花火合戦が、火花散る戦場と化した(ように見えた)瞬間の恐怖とやり切れな
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ブロークバック・マウンテン(2005年製作の映画)

3.8

二人出逢えた事で得られた喜びと、出逢ってしまった事で避けては通れなかった苦しみ、悲しみ。
割合でいうならば、後者の方が多くもたらされたのかもしれない。
悔やむこと事も少なくなかっただろう。
それでも、
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みじかくも美しく燃え(1967年製作の映画)

3.7

音楽に風景、耽美な世界に似つかわしい美男美女の逃避行。
終始、まるで霧のかかった夢の中のように美しく、たしかな現実であるはずなのに幻想的ともいえる程。
楽しげな森の中のピクニック。
決して豪華なもので
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希望のかなた(2017年製作の映画)

3.7

辛い局面の中で光る善意の気持ち。
カウリスマキが表現する優しさって、さりげなくて、じんわり染みるようなものばかり。
だから辛い時、うまくいかない時に観ると寄り添ってくれるような気持ちになるし、元気な時
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ウェディング・シンガー(1998年製作の映画)

3.6

最初からオチなんてわかっていても、こういう、手放しで幸せな気持ちになれる映画って必要だ。
不幸などん底にいても、皆が味方になって幸せになる為に背中を押してくれるなんて最高。
ちょっとダサくて、でもとび
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嘆きのテレーズ(1952年製作の映画)

3.8

恋に落ちるのは一瞬で、そこから破滅へと向かう二人は常に刹那的。
ヒリヒリするような痛ましさが画面越しにも伝わってきて、だからなのか不倫関係を責める気持ちには到底なれなかった。
知らずに投函された手紙が
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できごと(1967年製作の映画)

3.9

「召使」で感じた気持ち悪さ(不思議な中毒性ある魅力)、再臨。
若くて真っ直ぐな男子学生ととの対比で、際立つ中年男の惨めな諦めの悪さ。
...と辛辣に書いてみたものの、その残念っぷりが絶妙というかなんと
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バリー・リンドン(1975年製作の映画)

3.8

一人の男の栄枯盛衰。
何も持たざる者がのし上がっていく為に必要なのは、大事な人をも裏切り傷付けていく強かさなのか。
言葉少ない場面こそ、目線に秘められた想いが痛切なように感じられて印象的だった。
エン
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真夜中の虹(1988年製作の映画)

3.8

問題だらけの人生なのに、どん底気分になるより先に行動する主人公が格好良い。
逃避行って響きに堪らなくワクワクしてしまうのは、それが非日常だと思える人生だからなんだろうな。
ただ、日常でも非日常でも、待
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プロヴァンス物語/マルセルのお城(1990年製作の映画)

4.3

今作は前編に渡り、母の愛が満ち溢れた内容。
淑やかで控えめながらも、母としての強さは常に心にあったオーギュスティーヌ。
どんな時も、家族に向けられた彼女の眼差しは温かい。
前作と比較しても、人々の善意
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マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

4.0

最近改めてハマっているカウリスマキ作品。
こちらも数多の作品の例に漏れず、不遇×不運。
なのになぜだか哀れみや悲しみは感じない(所謂毒親であろう二人には憤りを感じたけれど)。
表情は乏しく、少女の心の
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パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

4.0

カウリスマキ作品の中でもかなり好みだった。
不器用で冴えないニカンデルだか、ここぞという時にはまっすぐ目を見て語気を強める事のできる男。
居心地の良さと、いざという時の頼もしさ(たとえそれが根拠の無い
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ラ・ファミリア(1987年製作の映画)

4.0

カルロを主人公に据えて、何世代にも渡り紡がれていく家族の繋がりが描かれた作品。
住宅の中でのショットばかりで、かつそこを出入りするのは皆親族ばかりという中で、不思議と閉塞感を感じることは無かった。
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アリスの恋(1974年製作の映画)

3.8

シングルマザーと息子のロードムービー。
その取り合わせが新鮮に思えて最後まで楽しめた。
序盤で夫を亡くし、悲しむ暇も無いほど(なかなか酷い夫だったせいもあるに違いないけれど)躍起になって夢を叶えつつ生
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カビリアの夜(1957年製作の映画)

3.8

どう転んでも報われないカビリアの行く先が気になって気になって。
腹も立つしガッカリするし、情けなくてやるせなくて、でもカビリアは諦めない。
至る所で情の深さを感じさせる言動が、より一層彼女を放っておけ
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プロヴァンス物語 マルセルの夏(1990年製作の映画)

4.1

豊かな日々、とはまさにこの映画のような暮らしだと思う。
愛する家族と共に学びのある生活。
大自然の中で過ごした夏、そこで育まれた友情は一生の宝物。
同じ夏は二度と来ない事を既に知っていた幼い日の自分。
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拾った女(1953年製作の映画)

4.1

めちゃくちゃ面白い!
テンポよく無駄のないストーリー展開は去ることながら、唸るような巧みな立ち回り、それぞれのキャラクターの個性も色濃く、短いながらも濃密な作品でかなり楽しめた。
正義が彼の手に委ねら
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