最初はただのモノマネじゃんとおもってたけど、柳楽優弥の演じるたけしが本当にたけしに見える瞬間が何度かあった。それが本当に素晴らしかった。その成果は単に本人の俳優としての技量によるものではないだろうし、>>続きを読む
「小説にはよくある」なんてメタ的セリフがあるように「母親探しの物語」というベタな題材が丁寧に編み込まれ、演出が施された脚本によってここまで独自の質感、読後感の物語になっていてすごく心を打たれた。
コ>>続きを読む
アンドリュー・ヘイの『異人たち』を観た流れで鑑賞。原作は未読だが、こちらのほうが登場人物が多く、不要な人間関係も描かれることがまず気になり、アンドリュー・ヘイ版はかなりフォーカスを絞って主題を見出し、>>続きを読む
原作は未読だが、大林宣彦監督の映画版を見る限り、この『異人たち』は2020年代のイギリス・ロンドンを舞台に、主人公をゲイ男性として描く、という改変はあるものの、『異人たちとの夏』のプロットを大枠で採用>>続きを読む
韓国(アジア)とアメリカ(西洋)、男性と女性など、さまざまな差異について考えさせる映画だなと思った。
自立していて男性に頼らない生き方をするノラ/ナヨンのようなアジア人女性は、さほど映画などでは描か>>続きを読む
その歴史性や後続の作品に与えた影響をどうしても考えさせられてしまうがゆえに、初見ではまったく評価不可能な作品だと圧倒された。
坂本龍一がその晩年につくったアルバム『async』やシアターピース『TI>>続きを読む
「物語」という観点からのみ見たらどうってことのない部類に入ると思うし、展開は後ろ倒しにされ、引き延ばされた結果、正味30分程度のスケールのエピソードではあると思う。だけれども、見せ方やさまざまな技が冴>>続きを読む
試写で2回観ました。1回目は当時の政治状況や人物についての理解が足りず、オッペンハイマーの視点で繰り広げられる映像・物語の渦にただただ巻き込まれたように感じ呆然としてしまった。
人物関係や政治的背景>>続きを読む
坂本龍一さんの逝去から丸1年の2024年3月28日、渋谷で観た。
貴重な映像ではあるが、映画でもドキュメンタリーでもない報道特番のようなトーンの作品という印象だった。「坂本龍一はなぜ社会発信を強めて>>続きを読む
『資本主義リアリズム』で言及されていたので鑑賞してみた。
舞台は2027年、原因不明のまま人類が子孫を生み出すことができなくなった世界が描かれる。移民と不法入国者の問題、あるいは全体主義的なムードに>>続きを読む
人の脳は抽象的な思考を行うために「記憶の整理」をしているらしい。脳は物事をありのままに覚えているのではなく、一度抽象化し、整理して「記憶」となったものが保管されているのである、と。記憶は整理される過程>>続きを読む
原作未読なうえ、私自身は三宅唱監督の作家性について何か語る言葉を持ち合わせてはないけれど、人間の不器用な心の動きそのものと、旧来的な価値観が見直されつつある社会に生きる市井の人々の人間関係のぎこちなさ>>続きを読む
絵が安っぽく、映画というよりはドラマのような感覚で鑑賞した。会話がなんだか陳腐で、挿入されるニュースの情報、意味深なセリフまわしなど含めて、物語全体が「伏線回収」に奉仕しているような印象だった。その点>>続きを読む
「意味わからん」「よーわからん」「ワケわからん」
はちゃめちゃで一見無軌道に生きていったバンドマン、ヒー兄(森山未來)を理性で捉えることは難しい。ついでにいうと、そもそも音楽も本当はよくわからないも>>続きを読む
歴史的音楽映画にも関わらず、初見でした。でもその初見がこの「4Kレストア」版でIMAXシアターだったことを幸福に思う。ありふれた言葉ではあるけれど、「まるでそこにいる」臨場感にここまで迫った劇場体験は>>続きを読む
胎児の脳を移植された成人女性のベラは、「冒険」を通じて身体的快楽、知的/精神的快楽を獲得していくことで、ベラ自身を、女性という主体を「発見」していく。つまり、この物語は、女性の「社会における自由」、身>>続きを読む
いい役者、ユニークな物語を活かしきれておらず、脚本から音楽から要素要素が噛み合わないだけにとどまらず、むしろ打ち消しあってるかのような映画だった。
個人的に、大学の後輩として主人公の劔さんを知ってい>>続きを読む
「自分一人が幸福になるということは、恥ずべきことかもしれないんです」
病によって身分や職業など一切関係なく、「その町に暮らしている」という一点のみにおいて世界から見捨てられた人々を描いたカミュ『ペス>>続きを読む
「韓国はギャツビイが多すぎる」
村上春樹の1983年の短編『納屋を焼く』をイ・チャンドンが韓国を舞台に現代劇として映画化した本作。
社会が高度に発展していく過程の裏で生じる現代の「階級闘争」ともい>>続きを読む
関東大震災の際に起こった朝鮮人の虐殺、および「福田村事件」という蛮行がいかにして起こったのかということが当時の人々の生活、思想や意識を丁寧に描き上げたうえで提示され、言葉を失う。何の罪もない、無抵抗の>>続きを読む
勤勉で几帳面、寡黙な平山は、いかにも日本人らしい。こんな人が実在するかどうかは別として、本作には、平山という人物と、平山を通じて描かれる繰り返しの日常のなかにある微細な変化、陰影、静寂を愛する心など、>>続きを読む
「カタギに馴染むのは難しか」
「シャバは我慢の連続ですよ。我慢の割によかことがなか。でも空が広い」
やさしくてまっすぐな三上の「正しさ」と、社会のレールに沿って生きる人たちの「不正義」を見過ごす生>>続きを読む
オンライン試写にて。下記にて記事を作りました。
呪物を使って霊を憑依させる若者たち。『トーク・トゥ・ミー』の「手」が暗喩するものは?監督が語る
https://www.cinra.net/artic>>続きを読む
アニメ『墓場鬼太郎』でも意識されているであろう「近代と戦後」というテーマが落とし込まれた物語と演出に考えさせられること多数。
科学の時代になり、日本はどんどん豊かになる……脱近代的な思想を持つ水木を>>続きを読む
戦国時代というプリミティブすぎる弱者淘汰の社会で繰り広げられる人間模様、当主とそれに仕える侍たちの緊張関係に、現代社会のアナロジーを見ることもできるとは思うが、そんな非情な世界をアホらしく描こうとした>>続きを読む
『ブラックパンサー』以来、MCUの新作は公開初日に観るようにしていたけれど、自覚している以上に気持ちが離れているのか、今回は公開後2週間以上経って劇場へ。
ドラマシリーズとしては大傑作だった『Ms.>>続きを読む
2回見た(2023/11/01、2023/11/11)。記事とポッドキャストを作りました。感想・レビューは次に見たときに書きたい。
▼なぜ『ゴーストワールド』は20年以上の時を超え、愛され続けるのか>>続きを読む
記事を作りました。
▼民謡クルセイダーズは、いかにして世界の聴衆を踊らせるに至ったか。海外から向けられる視線を受けて語る
https://www.cinra.net/article/202311-m>>続きを読む
記事を作りました。
▼音楽の正体は劇薬——ROTH BART BARON×岩井俊二対談。A_oから『キリエのうた』へ至る「歌」と映画の話
https://www.cinra.net/article/>>続きを読む
前作未見、特に俳優への思い入れもなく何となく見た。
何も考えずとも、ぼーっと見てても話が理解できて没入させられるところに本作のすごさを見た気がする。トム・クルーズという華がありすぎる初老男性を中心に>>続きを読む
2023/09/09(1回目)
音楽のドキュメンタリーには、「映ってないもの」がよくあるのだけれど、この作品は捉え難い「歌」の本質のようなものに触れている感覚があって、ものすごく惹き込まれてしまった。>>続きを読む
取材用に2回、オンライン試写で見た(2023/07/04、2023/08/07)。
恐怖とは何か、どこから来るのか、ということを考えさせられた作品だった。
フロイトは「不気味なもの(unheiml>>続きを読む
この作品を通じてグレタ・ガーヴィグやろうとしたことには、100%同意したいし、120%の意思をもって自分のものとして受け止めたいと思う。素晴らしい映画だったと思う。
まず序盤、サーシャがバービーに言>>続きを読む
このごろはとにかく暑すぎて、アスファルトの反射熱の厳しさに地球温暖化などさまざま思いを巡らせながら「決意の朝」を脳内再生してしまうことが増えたので、10代のとき以来に鑑賞した。当時は原作も読んだ気がす>>続きを読む
オンライン試写にて。軍隊という特殊な状況でブラック・クィアの困難が際立ち、また他方でセクシュアリティと関係なくひとりの人間、ひとつの命として同胞を思う気持ちとして主人公フレンチが尊重されるという、クィ>>続きを読む