ジュライさんの映画レビュー・感想・評価

ジュライ

ジュライ

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ミシシッピー・バーニング(1988年製作の映画)

4.5

冒頭の水飲み場のシーン、水道管の根っこは同じなのにそこからパイプが縦に分断されているというのが、視覚的にものすごく明快に人種問題を表現していてうまい。

愚直なほどの正義漢ながら国家権力の人海戦術で押
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とっととくたばれ(2018年製作の映画)

3.7

邪悪なアメリ、あるいはロシアのタランティーノ。アメリっぽいのはインテリアだけだけども。

内容としては「頼まれて彼女の父親を殺しにきた彼氏VS脛に傷を持つ現役刑事な彼女パパ」の一騎打ちからスタートし、
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関心領域(2023年製作の映画)

4.6

冒頭からして十二分に暗示的で、しばらく画面が真っ暗で、しかし物音だけは聞こえてくるという時間が1〜2分くらい続く。
ああいう真っ暗なシーンは家のテレビで観ると画面に余計なものが反射して雰囲気が削がれる
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ベニーズ・ビデオ(1992年製作の映画)

3.2

観る側に非常に精神的余裕を求めるという意味で、いかにもハネケっぽい作品。
気分が落ち込んでるときは観たくない内容だし、「間」を一切はしょってくれないあたりも焦れったいし。
スプラッタ映画やショッキング
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丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)

3.5

冒頭で“ユニセフに捧ぐ”との献辞が出た瞬間「うーん」と思ったものの(だから劇場予告で黒柳徹子が喋ってたのかと納得)、名作『風の影』からの引用文が挿入されてたので★+0.5。
豊かに中身が詰まった主人公
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スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする(2002年製作の映画)

3.0

「精神を病んでいる男の虚実が入り混じるスリラー」というとケレン味があるように聞こえるけど、実際には純文学的。
キャラクターの内面の掘り下げという点においては、やっぱりどうしても映画より小説のほうに軍配
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奇人たちの晩餐会(1998年製作の映画)

4.3

面白い。晩餐会は全然してないけど。
笑いの沸点高めの私も、普通に何度か吹き出してしまった。
「バカ」なコメディでも下品ネタには頼らず、あくまで洒脱なあたりがおフランス。

晩餐会の「バカをこっそりバカ
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パッション(2004年製作の映画)

3.3

イエスが捕まるところから処刑されるまでの話。
てっきり当然のように全員英語で会話するのかと思ってたら、ちゃんと現地の言葉にしてるのが感心でした。

鞭打ちや磔刑を合わせて、拷問シーンがまー長い長い。ほ
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黒い家(1999年製作の映画)

3.5

原作が好きなのと、久々に邦画ホラーが観たくなり鑑賞。
なんか無駄なシーンが一つあると思ったら、貴志さんのカメオ出演だったのか。

見どころ。
・妙にひろゆきっぽい金石
・小坂が指を噛むシーンの抜群のコ
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カールじいさんの空飛ぶ家(2009年製作の映画)

3.8

これ、着想は日本の風船おじさんから得たんだろうか? まあ仮にそうだったとしても、借金まみれで空に消えた男がヒントになりましたとは絶対言わないだろうけど。

うまいなと思ったのは、おそらく年配の観客の共
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Winny(2023年製作の映画)

3.7

今までこの裁判にはあまり関心がなかったので経緯を知らなかったけど、調書の捏造があったんですね。明治時代なら確実に拷問もしていたはず。
ていうか、あんなあやふやな状況で、家宅捜索にあたっての捜索令状をど
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

4.2

個人的に好きだった(&謎だった)ポイント。
・田舎のヤンキーのような取っ組み合いをするゴジラとコング
・そしてモスラに「メッ!」される可愛いゴジラ
・ゴジラがあげたカラフル鬨の声に「キレイ!」って顔で
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

3.5

再鑑賞。
昔っからシンジは周囲になんにも説明してもらえないまま右往左往せざるを得ない子だったけど、いよいよ説明してくれる人が冬月じーちゃん(とカヲル)しかいなくなってて笑えました。

他の見どころは、
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年製作の映画)

3.8

再鑑賞。やっとアスカが出てきてハッピー。

シンジを取り巻くパイロットたちはみんな性格やら名前やらがTV版からマイナーチェンジしてるけど、カヲルだけは従来のカヲルのままですよね。
人間は多かれ少なかれ
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年製作の映画)

3.6

再鑑賞。展開早くて助かる。でもアスカ出ないこと忘れててブルー。
TV版の頃は日常に当たり前にあったウォークマンやら公衆電話やらがすでに前世紀の遺物である今となっては、当時の庵野さん本人すら意図していな
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ウインド・リバー(2017年製作の映画)

3.8

寒い地方の話ってことくらいしか事前情報を仕入れずに観はじめ、「事実を基にしてる」と最初にアナウンスが出るし、裸足で雪の中を走るので、もしやディアトロフ峠モチーフかと思ってウキウキしたけど違いました。>>続きを読む

ブリッジ(2006年製作の映画)

3.9

ドキュメンタリーであり、現実にゴールデンゲートブリッジから投身自殺する人々のその瞬間の姿と、関係者へのインタビューで構成された93分間。

印象深かったのは、家族や友人など、遺された人々の多くが「なぜ
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Vフォー・ヴェンデッタ(2005年製作の映画)

4.1

もし『オペラ座の怪人』のファントムがディストピアの独裁国家で政権転覆を目論むテロリストになったら、みたいなSF。
ファントム以上に人は殺してるけど、でもVのほうが紳士。仮面を取ろうとしたイヴィーのこと
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.2

内容はひとまず置いておいて、とりあえずこの上映時間なら途中休憩を入れてくれと、私がノーランの家族か友達だったら絶対に本人に言います。
観客の精神力(というか膀胱力)に挑戦しすぎ。

中身のほうは、前評
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たたり(1963年製作の映画)

2.4

ホラー小説の恐怖度でいうと、これの原作を超えるものは私の人生において今のところ他にありません(むかし初めて読んだときはページをめくる手が震えた)。
日本的な「穢れ」の怖さともまた違う、足の裏をじっとり
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告発(1995年製作の映画)

4.5

アルカトラズ刑務所が舞台の実話ベース系。
三沢知廉は「日本の刑務所はアルカトラズより脱獄が難しい」と書いてましたが、まあ脱獄王の白鳥由栄がいたしね。

とにかくケヴィン・ベーコンの演技力が限界突破して
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大脱走(1963年製作の映画)

4.1

実話を基にしたストーリーで、冒頭でも「キャラとかには多少脚色はあるけど、脱走計画は実際のものを綿密に再現してるからね」との念押しあり。

あらすじからもっとシリアスで悲壮な雰囲気を想像してたけど、中盤
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世界最速のインディアン(2005年製作の映画)

3.8

バイクのスピード世界最高記録を樹立したおじいさんの実話。

アンソニー・ホプキンス演じる主人公がいつもにこやかで、ユーモアと、経験に裏打ちされた人生哲学と余裕があり、愛されやすい人柄なのもあいまって、
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十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

5.0

面白い!!
古い作品なのにテンポがよく、ダレ場が一切ないので目が離せません。

これって普通だったら、監督や脚本家は12人それぞれの人物像や人生をもっと掘り下げて説明したくなると思うんですよね。
この
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ダンケルク(2017年製作の映画)

3.8

実話だし「凝った構成で魅せる」という類のストーリーではないのでもっと直球に淡々と描いてもよさそうなものなのに、意地でもそれをしないのがノーラン。
もちろん『テネット』とかに比べれば全然やさしめのストレ
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DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

5.0

犬、しかもリュック・ベッソンとくれば観るしかない。
それにしても期待以上に良かったです。星10個つけたい。Blu-ray出たら絶対買います。

ああ犬はいいねえーーー。犬は地球の至宝ですね。犬いるとこ
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アイ・アム・レジェンド(2007年製作の映画)

3.8

観たら絶対に泣くであろうことが分かっていたのでずっと避けていましたが、意を決してようやく鑑賞。
結果、無事泣きました。

確かウィル・スミスはこの撮影終了後、すっかりサマンサ役の犬に心奪われていたため
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

4.0

長らく記録つけるのサボってましたが久々に。

個人的な見どころ。
・邪悪な顔の演技があまりにも堂に入っているヘンリー少年
・やたら頑丈な登場人物たち
・ストーリーにおける存在意義がほぼゼロなサリバン
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シックス・センス(1999年製作の映画)

5.0

再鑑賞。
昔一度観たきりだったけど、記憶力の悪い私ですらクライマックスのシーンは覚えていたので、それだけ印象深かった模様。
恐怖ではなく「見えてしまう人の哀切」に焦点を当てた作品って意外と少ないので、
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エンドロールのつづき(2021年製作の映画)

4.0

はからずも『モリコーネ』の次に劇場で観た作品になりました。
『ニューシネマパラダイス』が映画を通して心を受け取った側の話だとすると、こちらは映画に心を込めようとした側の話。私自身も作品を作りたい立場の
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モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

4.0

全編を通し、ジュゼッペ監督からモリコーネへの多大なる感謝と敬意が感じられる非常に丁寧な作り。
アカデミー賞をなかなか取れずにいたモリコーネがようやく名誉賞をもらった時にはホロリと涙が出ました。

個人
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ファンタジア(1940年製作の映画)

3.5

かなり久しぶりの再鑑賞。実写パートのこととか完全に忘れてました。
イェンシッドに媚びへつらうミッキーの姿は、なにか見てはいけない場面を目撃してしまったような気分に駆られます。例えるなら、親が土下座して
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TELL ME hideと見た景色(2022年製作の映画)

2.3

hide好きな夫と鑑賞。
hideのことは抜きにして「映画」という観点で点をつけると、まあこんなところかな……。

無駄に長いシーンが多くて、ちょっとダレてるように感じました。もう少し簡潔にしたほうが
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ドリーム・ホース(2020年製作の映画)

3.9

新年一発目に映画館で観るには最適な内容でした。
スピリッツと闘志。

特別に不幸なわけではないものの、情熱の不在な毎日を送っていて、人生を変える何かが欲しいと願う妻。
年をとるにつれて諦めを覚え、闘う
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ウォーリー(2008年製作の映画)

4.4

ずっとスルーしてたけど、ようやく鑑賞。
期待値より1000倍くらい良かった。
とにかくもうウォーリーがピュアっピュアで、あの澄みきった瞳を見てるだけで泣きそうになりました。
船の中の人たちはデフォルメ
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モーターヘッド/ザ・ワールド・イズ・アワーズ(2011年製作の映画)

3.8

メタル好きの夫と一緒に鑑賞。
クリスマスの夜だったので、こんな日に来てる人いるのかなぁと思ってたけど(ごめん)、かなり熱い感じのファンがたくさん来ていて、本物のライブさながらの盛り上がりでした。

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