ジュライ

たたりのジュライのレビュー・感想・評価

たたり(1963年製作の映画)
2.4
ホラー小説の恐怖度でいうと、これの原作を超えるものは私の人生において今のところ他にありません(むかし初めて読んだときはページをめくる手が震えた)。
日本的な「穢れ」の怖さともまた違う、足の裏をじっとり濡らす冷たい水のような恐怖。
はっきりと分かりやすく明示されるものは何もないのに、ただひたすらに不吉です。

この映画のほうは完成度でいうと及第点以下だとは思うけど(これ観るより原作読んでほしい)、見どころでいえば、2〜3回出てくる階段のシーンはわりと緊迫感あり。
あとエレナーが寝てた部屋の、どこで売ってるんだって感じの壁紙。あんな壁紙の部屋は嫌だ。
モノクロなので、影が濃い点はホラー映画としては有利ですね。


ただラスト、あのシーンのあとに登場人物たちがあれこれ喋ってるのがちょっと興醒めかな。
はたから見れば一瞬だけれど当人からすれば無限に引き伸ばされたかのような時間の中、恐怖と絶望に意識の全てを奪われたまま闇に沈むように暗転……からのTHE END、の流れでいいのに。
ジュライ

ジュライ