たいがさんの映画レビュー・感想・評価

たいが

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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.0

マジックアワーの美しい空をバックに浮かび上がる女性の影
その女性が物語を話す声はどこか別の所から響いているようにも感じる
肉体と声の分離
この分離する感覚はその後も色んな場面で感じられるものだった
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.3

山添くんと藤沢さんの距離感と関係性が本当に素晴らしかった
恋人でも友でもなく、積極的に距離を詰めようともしない
違いはあれど同じように生きづらさを感じる者同士としてお互いをケアする関係性

"自分の発
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関心領域(2023年製作の映画)

3.7

この映画は去年のカンヌの段階からかなり注目していて公開されるのを今か今かと待ち続けていた
たぶん今年1番楽しみにしていた映画
あらすじも知っていたからこういう演出がありそうだな〜なんて予想をしたりして
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マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

3.9

フュリオサの公開が控えてるのと、この映画が観客に意識を向けて欲しいものを常に画面の中心に置いてる作りになっているという話を聞いて見返したけど、やっぱり面白い!

行って帰ってくるだけの映画〜なんてよく
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.2

木々の間から空を見上げるショットから始まり、これが体感5分ほど続く
しばらくすると誰かの足音が聞こえてきて、空を見上げながら歩く少女が映る
さっきの空を見上げるショットは彼女の視点だったのかとここで分
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ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

3.6

"スティーブ・マデンの株を客のノドへ押し込み!!!窒息させてやれ!!!!窒息するまで10万株を売りつけろ!!!"
いつかこんなマインドで仕事してみたいもんだ!!笑

スコセッシと組んだ時のディカプリオ
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大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

3.8

学校では毎日のように教師に怒鳴られ、家に帰っても両親に厳しく冷たく扱われる
そんな環境下でアントワーヌは学校をサボったり盗みを働いたり反発的行動をとる
それを見て周囲はこう言う
"ただの反抗期だ"と、
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バティモン5 望まれざる者(2023年製作の映画)

4.0

試写会にて

前作『レ・ミゼラブル』では人種や宗教といった様々な衝突のど真ん中に放り込まれて一気にドライブしていくような印象だったが、今作はテーマは同じながらも少し毛色が違った

ただどちらの作品も一
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変な家(2024年製作の映画)

3.0

変な間取りの謎を解いていくミステリーかと思ったけど早々に間取りの謎はあっさりと解けてしまう
しかもそれまでの流れの中で観る側に間取りについて想像を膨らませるべきところを完全に映像のイメージを提示してし
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ハードエイト(1996年製作の映画)

3.6

なんだかのっぺりとした印象の映画なんだけど何故だか引き込まれていく求心力がある

普通は序盤で提示されるはずのシドニーの求めているものというのが終盤まで謎のままであり続けるが、これがミステリーの要素と
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リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

4.0

自分の中で薄れていくお父さんの記憶、それでもはっきり覚えてるパプリカチキンの味
だから鶏の色がお父さんと同じ赤色なことに凄く胸が打たれた

お母さんにとっての指輪のように、リンダにとってのパプリカチキ
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ボーイズ’ン・ザ・フッド(1991年製作の映画)

3.9

冒頭で流れる黒人による黒人の殺人の多さについてのテロップ
その後にでかでかと映し出される真っ赤な"STOP"の道路標識
見慣れているはずのただの道路標識が文脈を持ったとたんに違う見え方をしてくる、、、
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

4.0

アイスランドの僻地に教会を建てることを命じられたデンマークの若い牧師
その過程で描かれる文化的衝突や信仰、人間の弱さと盲目的確信
そしてそれらを軽々と凌駕する自然の圧倒的なスケールの大きさ

印象的だ
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AIR/エア(2023年製作の映画)

3.8

ザ・アメリカ映画って感じの作品だったけど面白かった

特に最後のスピーチが最高にアツかったな〜
"真実を話そう"から始まる未来の話
マイケルジョーダンがこの先手にするであろう栄光とそれについて回る闇の
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EO イーオー(2022年製作の映画)

3.8

すごい、本当に動物たちが人間と同じように演技をしてるみたいだ、、、!!

森に入った瞬間のシーンとかめちゃくちゃ良かったな
EOも自然というくくりの中のひとつの生き物のはずなのに、周囲にある自然からそ
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アメリカン・ヒストリーX(1998年製作の映画)

3.9

印象的なシーン、セリフがいくつもあった
エドワードノートンの役作りと演技がもの凄かったというのもあるけどたぶんこの監督の見せ方がめちゃくちゃ上手いんだと思う

全体が過去と現在の2部構成になってて過去
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

フランケンシュタインという古典をベースにしつつもテーマはすごく現代的
ヨルゴスランティモスの独創性がふんだんに表現されていた

この映画は色々な文脈での切り取り方や解釈の仕方ができる映画で、受け取り方
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

映像も音楽ももの凄い迫力
世界観や細かなディテールのビジュアルも凄いし、前作にも増してスター俳優勢揃いの映画
それでいて中盤でモノクロのシーンを差し込んだりと実験的な面もある

そんな映画館で観るため
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ワイルドバンチ(1969年製作の映画)

4.0

マジで面白かった!!
こういう多勢に無勢系の西部劇の中で1番好きかもしれない

ラストの銃撃戦だけじゃなく何回も山場があって、それぞれちゃんと違う良さもあるし全部スペクタクル
だから一切退屈な時がなく
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ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

3.0

完全ワンカットで撮ったという試み自体は本当に凄いと思う
だけどそれが適切にこの映画の表現として働いていたかというと微妙かなと思ってしまう

ただひたすらに人物を追い続けるカメラワークが単調で面白味が感
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夜を走る(2021年製作の映画)

3.5

日本映画っぽい繊細なタッチのフィルムノワールかと思って見始めたらどんどん想定外の方向へ、、、

東京に向かってたつもりがいつの間にかマダガスカル島に着いてた、ぐらい思ってもいない方向に話が進んでいく
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私は告白する(1953年製作の映画)

3.6

"神父は決して懺悔の内容を人に話してはいけない"
このたったひとつの題材から物語が膨らんでいき、展開していく面白さ

殺人犯から殺人についての懺悔を受ける神父だったが、ルールとしてそれを他の人に言うこ
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バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト デジタルリマスター版(1992年製作の映画)

4.2

いやぁ、凄い映画だったな、、、

この年代の映画特有の薄暗くジメジメした雰囲気とザラついた質感
そんな中でうごめくハーヴェイカイテルの存在感が凄まじく、目が釘付けになり脳裏からも離れない
特にコールガ
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サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

3.3

女性問題でキャンセルされた過去を考えるとこの映画をどう見ていいものかと悩む

キャラクターに自己投影しているのは毎度のことだけど、自分に年齢の近いキャラクターを主人公に据えて妻がいながら自分より少し若
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.9

お水買いに行くシーンが最高だった
あんな世紀末な街あるかよ!!(笑)

ヘレディタリーとミッドサマーは外部のコミュニティの変なルールに蹂躙される不快さだったけど、この映画は普段の生活の中にある不安なこ
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アルマゲドン・タイム ある日々の肖像(2022年製作の映画)

4.0

この映画でジェームズグレイのことが好きになった

この世には不平等や理不尽が存在していてそれは色んな形で生活の中に潜んでいること。
そして、それによって悲しい思いや辛い思いをしたり被害を被ったりしてい
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フランケンシュタイン(1931年製作の映画)

3.7

フランケンシュタイン、怪物の名前だとずっと思ってたら博士の名前だった!!

終盤、怪物を探して裁きを加えようとする人間たちが狂気じみていた
子供を殺すという残忍なことをしたのは間違いないが、その責任は
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彼方に(2023年製作の映画)

3.6

時間が解決してくれる、なんて言葉があるけれどなんて無責任な言葉なんだといつも思う
本当に深い心の傷はふとした拍子にフラッシュバックして何度だって苦しめてくるもの

だからそんな想像を絶するほどの心の傷
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ふたりだけのロデオ(2022年製作の映画)

3.4

男は背中で語るんだ!と言わんばかりに、印象的なショットのほとんどが背後からのショットだった

ただ道中だんだんと不安と疑いを募らせていく助手席の娘からの眼差しに対してはとても不誠実で頼りない
だが最後
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戦いとは終わりである(2023年製作の映画)

3.0

労働組合会館が閉鎖されてボクシングジムへ
そこでトレーニングを積み、試合に出る人たちを映したドキュメンタリー

ナンパされ暴力を振るわれた経験から強くなるためにボクシングを始めたトランスジェンダー
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夏休み(2023年製作の映画)

3.5

孤独を求めてバカンスにやってきたけれど紆余曲折ありなかなか平穏さを手に入れられない話

独りになりたいって気持ちはありながらもそこでの出会いに心を動かされたりする
心の底から孤独を求める人なんていない
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イースター・パレード(1948年製作の映画)

3.7

必ずどの場面でもどこかに赤や黄色といったビビッドな色が差し込まれていたのが印象的
それに歌もダンスもとてもキャッチーで良かった

何より良かったのは勝負曲の選曲!
派手な曲を選ぶんじゃなくて、2人だか
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

4.0

これを観てから何日か経った後も、この映画のことが頭から離れなかった
考えれば考えるほど新しい発見や気付きがあってこの映画の奥深さを実感してる

さて、この映画はパードリックがコリンに絶縁を言い渡される
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.7

フィンチャーの最新作が映画館で観れるとなったらどう考えても行くだろ〜!

今作はある1人の殺し屋の話
オープニングからヒッチコックの裏窓を彷彿とさせるようなバチバチの構図の中でまるでNHKのプロフェッ
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最悪な子どもたち(2022年製作の映画)

3.5

「なぜ映画というジャンルが、過酷な環境で生きる子どもたちに惹かれカメラを向けようとするのか?」というテーマに基づいて作られた映画

フランスの田舎に住む問題児たちを起用し、彼らがモデルになっている役柄
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.6

上映時間3時間20分と聞いてあらゆるトイレマネジメントをした上で臨んだけど、全然そこまでの長さは感じなく体感2時間30分ぐらいだった
まぁそれでも長いか(笑)

予告編見た時はめちゃくちゃテンポのいい
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