今、これを観ずして何を観ましょうか。
ひたすら実直に生きることだけが正義とは限らないこの世界。真面目な人間が馬鹿を見るこの世界。現代劇以上に、時代劇に現代を見る異色の映画体験。
白石和彌の映画を観>>続きを読む
『夢二のテーマ』を聴きに来た。描かれるは不倫の連鎖。そうか、『花様年華』はある意味で今作のカウンターであり、皮肉でもあったわけか。
2024/05/17 1回目
クライマックスの陽炎座。演劇と現実が融解しきったところで、芝居小屋は崩壊する。霊が提灯に導かれるように、松崎は鬼灯に導かれる。
2024/05/16 1回目
物語の難解さなど気にもならなかった。ある女優の、ある一時の輝きをフィルムに克明に焼き付けている事実だけで、この映画はどんな言葉でも説明できないほどに尊く感じられる。「耽美」という言葉で割り切らせてくれ>>続きを読む
冒頭のシーン。レストランの静寂、そこから窓を開けた瞬間、揺れるブランコの活気が画面を奪う。その窓を開けた瞬間に開ける視界、音楽がかかり、焦点は手前の店内から奥の外景へと切り替わる。これを書きながら、何>>続きを読む
女性のクローズアップの美しさに見惚れていると、同時に恐怖が襲ってくることがある。ドライヤーの作品はいつもそう。
2024/05/14 1回目
字幕も台詞もないが、確かに物語はある。なんで、ショットの連続を見ているだけなのに、そこに物語を感じ取れるのだろう。なんで、作り手と観客で、或いは観客同士でその物語を共有できるんだろう。
2024/0>>続きを読む
『悪名』でも感じていたが、チェン・アルは裏切や殺人を描きながら、そこに至るまでの背景や動機を描かない。物語としては欠陥のように見えるその不在がかえって、(個人レベルでは)動機のない殺人="戦争"を想起>>続きを読む
トニー・レオンが上海語を喋っている。ジャンルは、どちらかというと韓国が得意とする”政治ノワール”。ルックは、色のない『花様年華』。
タランティーノを敬愛する監督チェン・アル。今作では、監督、脚本、編>>続きを読む
中盤の水中撮影やラストの空撮など、当時の撮影技術やカメラ事情を考えると、その試みの大胆さと偉大さには敬意しかない。
2024/05/10 1回目
なぜジャン・ヴィゴは天才と言われるのだろう。若干29歳で急逝したことが神格化の原因か。現代に生きる我々からすると、一見、"普通"の映像だ。しかし、映画史のフィルターを通して見ると、一転。その"普通"は>>続きを読む
即興演出。カサヴェテス自身が「創造的アクシデント」と呼ぶそれが、既存の映画文体を揺るがせたのはもう70年も前のこと。”即興”というキーワードで安直にカサヴェテスが敬愛したジャズと結びつけて良いだろうか>>続きを読む
シェイクスピアの四大悲劇『マクベス』を大胆に翻案し、そこに複式夢幻能という日本の古典劇のエッセンスを注入したという。主人公がある決断をするある場面、その中盤の見せ場。台詞無しで進んでいくそのシークエン>>続きを読む
”沈黙三部作”の前作に当たり、ベルイマンの生涯のテーマ「神の沈黙」をまたもや反復する今作。”死”と”人間の魂”の象徴としてのカエル、死の神オーディンの使いである八咫烏を想起させるカラスのアップ、「ルル>>続きを読む
行って帰ってくる。ただそれだけ。そのミニマルなプロットに映画の喜びが詰まっている。『マッドマックス 怒りのデスロード』も元を辿ればここに繋がる。映画ってこれで良い。
2024/05/06 1回目
「気まずさ」の映画。とりわけ、人間関係に於ける「気まずさ」の居心地悪さを、否定も肯定もせず、ホン・サンスの十八番バカズームによって映しとる。劇中、イ・へヨン扮するジュニがホン・サンスを代弁するように言>>続きを読む
コンプレックスに身を固められ、身動き取れなくなった脆弱性という、仲代達矢の持ち味がこれ以上ない程表現されている。しかし、あの勝新がどうして刀を持たない役だったのだろうか。ある意味で勝新も持ち味を活かし>>続きを読む
何だろう、このフィルムから匂い立つ溢れんばかりの太宰感。徹頭徹尾、太宰だった。
2024/05/01 1回目
"漢字は一緒で読みが違う"という台詞に、正に朝鮮と日本を重ねる。
2024/04/30 1回目
"手負の鹿は人を襲う"
"都会の人はストレスを吐き捨てにここに来る"
濱口竜介作品は2作ほどしか観ていないのだが、いずれも文学的で難解な印象を持って、濱口竜介の作家性を決め付けていた。しかし、それも>>続きを読む
神の沈黙、神の不在。今作は特に"神の"沈黙をめぐる話ですが、『仮面/ペルソナ』や『叫びとささやき』にも"沈黙"というキーワードが出てくるように、ベルイマンにとってこの"沈黙"がいかに興味の対象だったか>>続きを読む
赤狩り。チャップリンのキャリアひいては人生のターニングポイントとなった今作。
しかし、それは置いておいて、やはりチャップリンのブラック・コメディの才能は鋭すぎる。
2024/04/27 1回目
【>>続きを読む
竜星涼も飯豊まりえも丸山敦史も、皆んなあの時のまま、お話に便乗して私自身も10年前にタイムスリップした鑑賞体験。2010年代の戦隊の中でも、キョウリュウジャーのコテコテの名乗りが特に好きだったことを思>>続きを読む
"子供にこそ、本当に面白いものを届けるべきだ"
脚本家・高野水登が書いたであろうこの台詞が嬉しくうっかり涙。もうこの台詞に『王様戦隊キングオージャー』の全てが込められているなと。
2024/04/>>続きを読む
この巨体バディムービー、嫌いになれない。人間ドラマパートは前作から「故郷」というテーマを引き継いでいる。事人間ドラマについてはやや消化不良感が否めないが、怪獣パートはどうだろう。冒頭、虫歯治療からの差>>続きを読む
イギリスでの製作にかなり苦戦したというのと、近未来SFというジャンルを持ってして、トリュフォーのフィルモグラフィー上の特異点のような作品。
本が燃えるショットを見ながら、文明への侮辱だと憤りを感じつ>>続きを読む
緑の上に燦々と降り注ぐ陽。面白い程に一目でネストール・アルメンドロスが撮影監督だとわかる。奔放な恋愛スタイルがやがて自身の首を絞めていくというところに個人的にトリュフォーらしさを感じる。
2024/>>続きを読む
巧妙な時制のマジック。映画史上、最高の反面教師かもしれない。それにしても、後部座席から雪を見つめるキム・ミニの美しさ。
2024/04/23 1回目
【2024年131本目】
「アントワーヌ・ドワネルの冒険」シリーズ第5作。前作から8年の時を経て遂に完結。過去4作の映像がモンタージュ的に差し込まれ、ドワネルもといジャン=ピエール・レオの軌跡に感慨耽る。過去4作、特に1作目『>>続きを読む
『キッド』撮影中断期間中に作成されたという短編。
2024/04/20 1回目
【2024年129本目】
今最もスクリーンで観たかった2人。先日配信された『リプリー』が良すぎたアンドリュー・スコットと『アフター・サン』での好演が記憶に新しいポール・メスカルの共演。山田太一の小説『異人たちとの夏』を大胆に翻>>続きを読む
ザック・エフロン、ハリス・ディキンソンがプロレスラー役という稀代のハンサムキャスティング。その綺麗な顔に後付けされたような筋肉がまるで"男らしさ"という十字架を背負わされているようで、次第にリングコー>>続きを読む
「PAST」と「LIVES」の間の空白が示唆する主人公2人の距離感。終始、"距離"が念頭に置かれたフレーム内の人物配置。主人公が語る「인연」。縁とか輪廻転生の意らしい。今世では決して結ばれることはない>>続きを読む
フェリーニ作品のミューズにして、実妻のジュリエッタ・マッシーナが同名の主人公を演じる。フェリーニにとって初めてのカラー作品なだけあって、気合の入った色彩が目を奪う。現実と夢が錯綜する神秘体験、『8 1>>続きを読む
主人公の1人オーギュストは名前からして道化師の役回りを担ってるのだろう。『青春群像』に引き続き、フランコ・ファブリッツィの役がダメ男すぎる。
2024/04/14 1回目
【2024年124本目】
後世に多大な影響を及ぼすも、時代に翻弄され、赤狩りによってハリウッドを追われた名匠ジョセフ・ロージー。そのキャリア中の数少ないハリウッド映画であり処女作。
2024/04/13 1回目
【2024年>>続きを読む