中島晋作さんの映画レビュー・感想・評価 - 45ページ目

デヴィッド・リンチ:アートライフ(2016年製作の映画)

3.5

写真で見るカリフォルニアの荒涼とした風景が印象深い。そうか、ここがリンチやクエイ兄弟を生んだ土地なのかと。

『イレイザー・ヘッド』が、作家にとってあらゆる意味で幸福な作品だったと知る。あれがねえ…

サファリ(2016年製作の映画)

3.7

トロフィー・ハンティングのドキュメンタリーである。狩り自体は最後の解体ショーもあり、極めて残酷に映るが、白人の言い分も割と説得的だから面白い。「人間が増えすぎているのが問題だ」とか「人間がいなくなれば>>続きを読む

希望ヶ丘夫婦戦争(1979年製作の映画)

3.7

「MASS」なるサークルで上映される「乙女とカエル」という謎の映像が印象深い。最後のタンポポ畑の投げやり感がいい。

新・団地妻 売春グループ13号館(1975年製作の映画)

3.0

狼と飛行機で唐突に終わるラストがいい。途中の、マネキン付きの牢獄は印象深かった。

デトロイト(2017年製作の映画)

4.5

キャスリン・ビグローはリアリズムの人である。今作はドキュメンタリー映像も用いるため、かつてない徹底したリアリズム描写が続く。開始5分で戦争映画になる様も圧巻だが、何より恐ろしいのが、モータウン・ミュー>>続きを読む

いぬ(1963年製作の映画)

3.7

冒頭の殺しのあとで、ランプの揺れに同調して影が揺れる様が見事。心のなかで「かっけ〜」と呟く。密告者(いぬ)は誰か。フツーに騙されてしまった。ジャン=ポール・ベルモンド主演。

海の沈黙(1947年製作の映画)

4.3

原作小説のクオリティの高さがあることを差っ引いても傑作であった。

フランス人の老人とその姪が暮らす家が、あるときドイツ人将校の宿として提供される。その将校は芸術を愛する繊細な男であったが、老人家族は
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ある道化師の24時間(1946年製作の映画)

3.8

これは良かった。あるアウトサイダーのポートレート。サーカスのキラキラ光る電飾が、モノクロの画面で美しく輝く。

競輪上人行状記(1963年製作の映画)

3.6

撮り方は凡庸。しかし今村昌平も関与した脚本は秀逸。犬のギャグと最後の説法には笑わせてもらった。

帰ってきた狼(1966年製作の映画)

1.9

割とつまらないのだが、冒頭スタンダードからシネスコ構図への変換など、微妙に凝ってる奇妙さは味がある(?)。

ピンカートンに会いに行く(2017年製作の映画)

1.2

知り合いの俳優が出ているから、という理由だけで見た。その俳優だけは良かった。
…しかし映画は最悪であった。冒頭の砂糖のギャグで嫌な予感がしたが、見事に的中。滑り続けるギャグと、あまりにも単純すぎるキャ
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早春(1970年製作の映画)

4.4

真っ赤なオープニングが印象的。赤と白が交互に差し出されるイメージだった。あのお風呂屋さんの構造はとても面白い。雪の中でダイヤを探すシーンもいい。最後はやっぱり悶えます。

巌窟の野獣(1939年製作の映画)

3.6

原題はジャマイカ・イン。風変わりな名前の宿屋にモーリン・オハラが舞い込む。悪の親玉にチャールズ・ロートンである。ヒッチコック英国時代最後の力作であった。ラストの船上シーンはなぜか忘れられない。

ダウンヒル(1927年製作の映画)

3.6

サイレント映画特有の(?)暗い雰囲気がいい。映画としてはあんま面白くないんだけどね。

スミス夫妻(1941年製作の映画)

3.8

ヒッチコックのスクリューボール・コメディ。キャロル・ロンバードの気を引こうと奮闘するロバート・モンゴメリーが最高に楽しい。スープを飲もうとしない猫、ラストのスキー板も印象深い。

リッチ・アンド・ストレンジ(1931年製作の映画)

3.0

ヒッチコックの妻アルマ・レヴィルが脚本を担当したという。だからか(?)非常にゆるい作品。

突然お金が舞い込んで、船旅に出た夫婦の受難劇。アジア人種への差別的眼差しは、今のPC的にアウトだが、あの猫の
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暗殺者の家(1934年製作の映画)

3.6

ピーター・ローレが髪を染めて登場。魔術と殺人という極めてフリッツ・ラング的な主題。教会での椅子投げ合戦が楽しい。

逃走迷路(1942年製作の映画)

4.2

男の影がゆっくりと迫ってくるオープニング。ヒッチコックのなかでは例外的に「泣ける」映画だと思う。盲目の老人、フリークスたち。ロバート・カミングスとプリシラ・レイン。

わたしたちの家(2017年製作の映画)

3.3

不思議な映画であった。
ひとつの家をふたつの次元に生きる女たちがSHARINGする。女と家、という主題は、つい封建的家父長制みたいな概念を想起させるが、そんなお堅い映画ではない。映っている人間がみんな
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愛の病(2017年製作の映画)

2.3

この映画で面白いのは、舞台が和歌山だという一言に尽きる。逆に言えばそれ以外は…
地方都市が舞台の映画では、孤独、性、暴力がその主題となることが多く見受けられ、そのことが地方都市のネガティヴなステレオタ
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ブリムストーン(2016年製作の映画)

3.7

『ブリムストーン』は受難の映画である。
主人公のリズ(ダコタ・ファニング)が過ごした娼館の名前は「インフェルノ」。映画全体の章立ては「エクソダス」「ジェネシス」という、まあそーゆー話である。風景は全編
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間諜最後の日(1936年製作の映画)

2.4

これはツマラナイ方のヒッチコックである。

ただし、チョコレート工場の緊迫感や、空爆を受ける列車のシーンは見事。ピーター・ローレの使い方は完全に間違っているが。

海外特派員(1940年製作の映画)

4.0

巻き込まれ系ヒッチコック映画の傑作。

暗殺シーンの素晴らしさは言うに及ばず、航空機事故のスペクタクルは今の目にも迫力を感じさせる。ジョエル・マクリーとジョージ・サンダースのかっこよさ。

アンダルシアの犬(1928年製作の映画)

4.1

筋は意外と追える。

カミソリを研ぐ男。丸い月にかかる鋭い雲。男は女の目を切り裂く。流れ落ちる水晶体。

男が自転車で、途中転げながら女の家にやってくる。女と部屋で2人。ふと外を見ると落ちた手首を棒で
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砂漠のシモン(1965年製作の映画)

4.5

『ビリディアナ』に引き続きシルヴィア・ピナルがエロい!ある時は妖艶に、ある時は老婆の姿に、またある時は髭面で(!)登場する彼女が一番魅力的であるのは言うまでもない。

パラダイン夫人の恋(1947年製作の映画)

3.7

ヒッチコックの法廷劇は割とニガテなのだが、最後の食事シーンはさすがに面白かった。「貴方みたいな人間を好きになることが、どれほどの苦痛かわかって?」と吐き捨てられるセリフ。

ただし、ラストにグレゴリー
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見知らぬ乗客(1951年製作の映画)

4.0

男2人の出会いは脚から。ロバート・ウォーカーのサイコパス演技が見どころ。遠方から、テニスの観客からの視線。メリーゴーランドで爆走するラストも凄いが、その直前、テニスの試合と落ちたライターとのクロスカッ>>続きを読む

ジャコメッティ 最後の肖像(2017年製作の映画)

3.7

ジャコメッティの晩年に焦点をあてたフィクションである。ジェフリー・ラッシュが本人にそっくりで驚く。

芸術家の伝記映画らしからぬ、とにかく簡素なつくりで、そこに好感が持てる。ユーモアや女遊びを横目に見
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ふしだらな女(1927年製作の映画)

2.0

これは微妙な方のヒッチコック。法廷劇がそもそもヒッチコックの中ではイマイチなんだよなあ。

レベッカ(1940年製作の映画)

3.7

ローレンス・オリヴィエが大富豪を演じ、そこに嫁いでくる田舎娘にジョーン・フォンテイン。屋敷の家政婦がジュディス・アンダーソンで、この人が怖いんだ。

死んだ富豪の妻レベッカと田舎娘が重ねられるのは、『
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サボタージュ(1936年製作の映画)

4.1

映画館を経営する夫婦がいる。一見ごく普通の家庭に見えるが、実は夫はサボタージュだった!

爆弾魔の夫を演じたオスカー・ホモルカは、明らかにフリッツ・ラング映画におけるエドワード・G・ロビンソンである。
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救命艇(1944年製作の映画)

3.4

船が沈む。そして救命艇に人が集まる。ワンシチュエーションのヒッチコック映画である。ドイツ人の暗い倫理観は、『疑惑の影』のジョセフ・コットンに通ずるようで興味深い。

腕輪で魚釣りが可笑しい。

私は告白する(1953年製作の映画)

2.5

冒頭のドイツ表現主義的な影と無人の街の演出は素晴らしい。しかし映画はサスペンスとメロドラマ、法廷劇と神父の受難の物語で四重に引き裂かれ、かなりとっ散らかった印象。モンゴメリー・クリフトはハンサムすぎて>>続きを読む

ロープ(1948年製作の映画)

4.0

『ロープ』の舞台はニューヨークである。殺人が起こったアパートのカーテンを開けると、マンハッタンが一望できる。外は昼、天気は晴れている。映画は夜のマンハッタンを背にして終わるから、映画内と実時間はほぼリ>>続きを読む

キングスマン:ゴールデン・サークル(2017年製作の映画)

3.7

カントリー・ロードのオープニングから胸が高鳴る。スウェーデン女王がクスリをやっている(っていうかやってる人ほかにも多すぎなんだが)という割とブラックな展開。全体的にスンゲー面白かったんだけど、チャニン>>続きを読む

オール・アイズ・オン・ミー(2017年製作の映画)

3.9

トゥパック・シャクールの伝記映画である。

…といっても25歳で死んでしまうのだから、ほとんど青春映画といってもいいだろう。ゲットーのリアルを歌ったリリックも感動的だが、俺は金持ちで女もいるしサイコー
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