midoredさんの映画レビュー・感想・評価

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キングコング対ゴジラ(1962年製作の映画)

4.8

まずこのジャケットからして抱腹絶倒なんですが、中身も実に最高でした。

あらすじ:北海で目覚めたゴジラと南方から日本に拉致られたキングコングが富士山あたりで落ち合って存分にレスリングをする。どっちが勝
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ゴジラの逆襲(1955年製作の映画)

4.0

ゴジラ2作目には太平洋戦争の影も社会批判もありません。「原水爆の申し子ゴジラ」というフレーズすら浮いています。

あらすじ: ゴジラは東京湾で死んだ個体だけではなかった。山根博士が危惧した通りにゴジラ
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乙女の星(1945年製作の映画)

4.8

もうすぐ16歳の誕生日を迎える男爵令嬢シルヴィは夢見がちな乙女。自分のいる城にはハンサムな幽霊アランが住んでいるのだと頑なに信じていて、現実の男性にはまるで興味がない。城の財政難でアランの肖像画を売っ>>続きを読む

ゴジラ(1954年製作の映画)

4.0

大元祖ゴジラ。やはりこのゴジラは戦争トラウマのメタファーなんでしょうね。焼かれた街や苦しむ人々の姿は妙にリアルであり、原爆や大空襲による大量虐殺や破壊の再現に見えました。

そもそもゴジラの足音が大き
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天井桟敷の人々(1945年製作の映画)

4.3

パリの劇場にたむろする俳優や貴族やごろつきが元女芸人ガランスの愛をめぐって粋なセリフを投げ合うテンポの良い作品。自分がみた配信ではなぜか第二幕から始まるのでめんくらいましたが展開やセリフがいちいち面白>>続きを読む

津軽のカマリ(2018年製作の映画)

4.0

1997年に亡くなった津軽三味線の名人高橋竹山のドキュメンタリー。生者と死者の境界があいまいな、東北の風土を強く感じさせる作品でした。

農家や祭りのモノクロ写真、青森に残る惨たらしい飢饉の記憶、沖縄
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

1.5

鬼太郎の目玉の親父に体があった頃のお話。一応ストーリーの起承転結はついてますが、つまらなくてびっくりしました。自己陶酔しながら描いた2次創作でしょうか。

鬼太郎というよりはジャンプのヒーロー漫画と言
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シライサン(2020年製作の映画)

3.0

怪談話「シライサン」で連鎖する呪いと恐怖のJホラー……と思わせつつの、まったり温泉地ラブストーリー。

シライサンの設定からしてオカルトを舐めてるのかという杜撰さですし、作中で解釈してみせる野暮ったさ
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秒速5センチメートル(2007年製作の映画)

2.0

初恋の彼女が忘れられない青年のモノローグ。

線路の向こう側で彼女が振り返ってくれるのを待つだなんて、ようするにこの主人公、本当は彼女に会いたくもないし、付き合いたくもないのだなと思いました。栃木まで
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.0

♨️ニクロが金を出した映画ときいて、どうせいつもの新自由主義プロパガンダだろうと、ゴツゴツの色眼鏡かけて戦闘態勢でシートに陣取ったのですが、画面いっぱいに迫りくるトンチキJAPANと可愛いファンタジッ>>続きを読む

黒い乙女A(2019年製作の映画)

3.0

『黒い乙女Q』の解答編。同じ出来事をもう1人の少女ラナの視点から描いて行く。バトル要素もあり前作とは雰囲気がぜんぜん違います。

視点が違うだけなのに、こっちはこっちで先が読めない不思議な作品です。期
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黒い乙女Q(2019年製作の映画)

4.3

養護施設にいた17歳の少女が養子にいった先にはそっくりの少女がいた。彼女も養子に来たばかりだと言う。怪しげな家や奇怪な隣人にもへこたれず、2人は急速に友情を深めるのだが…。奇妙なユーモアに満ちたホラー>>続きを読む

M(1931年製作の映画)

4.8

ベルリンで少女連続殺人事件が起きる。不安と疑心暗鬼に満ちた人々は殺人鬼逮捕に奔走するのだが…。

ヒットラーが独裁政権を掌握する2年前の1931年当時のドイツ映画です。まるでタイムマシンのようでもの珍
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殺人カメラ(1952年製作の映画)

3.5

イタリアの海辺の街で聖人祭の夜、老いた浮浪者が写真屋に転がり込む。善人は悪人を殺して善行を積まねばならんと過激なことを主張する爺さんは、そのカメラで悪い奴の写真を写して見ろという。店の主人が言われた通>>続きを読む

フリークス(怪物團/神の子ら)(1932年製作の映画)

4.6

サーカスで働く小人症のハンスは美しいブラコン乗りに誘惑される。彼女の目当てはハンスの金だった。怪力男と共謀して影で嘲笑いながらハンスに金品を貢がせる彼女を待ち受ける恐ろしい運命とは…。

とにかくイン
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タクミくんシリーズ ⻑い⻑い物語の始まりの朝。(2023年製作の映画)

2.1

BL小説の古株「タクミくんシリーズ」劇場版の最新作です。同性愛者しかいない全寮制男子校のお話です。

このシリーズは『おっさんずラブ』のずっと以前、それこそ2000年代からマニア向けに細々続いてきた実
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道成寺(1976年製作の映画)

5.0

言わずと知れた『道成寺』を人形アニメーションにした作品。

セリフもモノローグも全部頭の中に自動生成される精度の高い動き、映し方、間。完璧です。人の情念の凄まじさ、恐ろしさ、そして悲しさに打たれます。
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花折り(1968年製作の映画)

4.7

満開の桜のしたで繰り広げられる滑稽な一幕。いたずら小坊主の声を当てているのは黒柳徹子。日本画と人形を合わせたアニメーションです。

小坊主の造形と動きがやたら面白くて、可愛くて、もう動いているだけで笑
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(1972年製作の映画)

4.8

今昔物語を元に作られた人形アニメーション。

何となくスジを知っていてもラストにはたまげますし、短くまとめられた不幸な女の人生の「身も蓋もなさ」と普遍性にも意表をつかれますし、締めくくりの文章にもぶっ
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詩人の生涯(1974年製作の映画)

4.5

原作安部公房、アニメーション川本喜八郎。夢や希望だけでなく、命まで搾り取られる工場労働者たちの苦しみと解放の物語。共産主義の象徴たる赤いジャケツのみ色がついています。

工場の煙突なんかに溜まったスス
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カンフー・モンスター(2018年製作の映画)

3.1

レトロな香港映画を模したおバカな時代劇アクション・コメディです。江湖というありがちな舞台で、役者がワイヤーアクションですっ飛び、昔風の劇中歌が流れます。すべてお約束通りで笑います。もちろんエンドロール>>続きを読む

ドント・イット(2016年製作の映画)

4.0

息子を亡くしたシングルマザーがネットで魔術師を雇ってオカルト儀式に本気で挑むが…。

これはホラー映画ではなくて精神世界の探求の寓話ですね。そう思うとラストにも納得できるかと思います。

詐欺師に騙さ
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ZIPANG ジパング(1990年製作の映画)

3.0

江戸時代の盗賊と忍者がチャンバラしながら黄金の国ジパングを冒険する和製「トンチキJAPAN」ファンタジー。

当時のトレンディ・ドラマのスターだけでなく成田三樹夫までおり画面がとても豪華です。しかもエ
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パーフェクト・ソウルメイト(2017年製作の映画)

2.7

憧れの詩人と親友になるために間違った努力を続ける熱烈ファンのサイコサスペンス。

セレブに執着する頭のおかしい一般人の暴走というよくあるストーリーですが、双方ともに恵まれない環境で育ち、成長後も家庭内
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ローラーボール(1975年製作の映画)

3.5

戦争も貧困もなくなった未来社会で人々が熱狂するのは野蛮なスポーツ「ローラーボール」だった。そのスター選手であるジョナサンは突如オーナーから引退を命じられる。チームも自分も絶好調なのになぜ辞めねばならな>>続きを読む

僕の彼女はサイボーグ(2008年製作の映画)

2.2

さえない青年の元に未来から美人アンドロイドが来てくれるお話。

こんな多機能ルンバみたいな「彼女」が良いならそりゃシングルライフも止むなしでしょう。文字通りおんぶに抱っこで、恋愛でもなんでもありません
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男狐聊斎~狐の恩返し~(2022年製作の映画)

2.7

狐の妖怪が1000年前の恩を返すために人間に化け、とある若様のボディーガードになる。悩み深い若様は一向に心を開いてくれず、どう恩を返せば良いのか分からない狐仙白辰はあれこれ手を尽くす。一方で悪徳道士が>>続きを読む

天才画家ダリ 愛と激情の青春(2008年製作の映画)

3.0

画家ダリと詩人ロルカ、この2人が学生時代に親友だったらしいとの情報を元に創作された青春同性愛映画。

エリートが集う大学の学生寮に、ある日古風な扮装した風変わりな青年ダリがやってくる。すでに名を成して
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女神の継承(2021年製作の映画)

2.3

モキュメンタリー調のエクソシストin タイ。現地のシャーマンを取材する体でお話が進みます。

なかなかそれっぽく作ってありますが、『ブンミおじさんの森』のような、目に見えない世界の実在感というものが全
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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

4.0

おなじみ『うる星やつら』の面々による、終わらない学園祭前日のお話です。

思い出の中でホラー映画に分類されていた本作。改めて見ると、なるほどこういう話だったのかと納得する一方で、やはりしっかり怖い。
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ミスト(2007年製作の映画)

3.7

嵐の翌日、山の向こうから妙な霧が出た。なんだか分からないが、とりあえずホームセンターへ買い出しに行った親子が見たものとは。

確かに嫌な話ですし、視覚的に気持ち悪いシーンも多いのに、不思議と遊園地のア
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風の又三郎(1940年製作の映画)

5.0

「まだ、又三郎がそばにいるみたいだな」

泣きました。これぞエコロジー。宮沢賢治が『風の又三郎』で言いたかったことをちゃんと理解して、真正面から作った映画版『風の又三郎』です。画面から生命の輝きがあふ
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オルフェ(1950年製作の映画)

4.5

こう言ってはなんですが、これはジャン・コクトーが自分の「男ミューズ」を主演に撮った元祖イケメン映画ではなかろうかと。

ギリシャ神話の吟遊詩人オルフェウスを1950年代のフランスに蘇らせた幻想的なお話
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

2.7

売れない黒人男性作家がヤケクソで白人受けしそうな典型的黒人小説を書いてみたところ大ヒットしてしまう。上辺ばかりの“多様性尊重”を皮肉りたおすメタフィクション的なブラックコメディ。

まずこの映画自体が
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テール しっぽのある美女(2012年製作の映画)

2.5

特殊清掃業者の青年たちが監禁されていたとおぼしき若い女性を発見した。ホルマリン漬けの標本や古い缶詰が積まれた地下室で一体何が起きていたのか。ノルウェー製ファンタジック・ホラー・サスペンス。

意外性は
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あちらにいる鬼(2022年製作の映画)

2.3

不倫する男女と正妻の苦悩を淡々と描いたお話。どう考えても長すぎます。最初から最後までずっと苦痛でした。Z級映画でもこんなに残り時間を確認したことがないくらいです。

もちろん、リアルな男女の仲なんて、
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