Otoさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

カウンセラー(2021年製作の映画)

3.8

緊張感のある中編ホラー。見てはいけない不思議な出来事を覗いているような、矛盾や説明のつかない部分があえて残されているような、なのに細部の表現まで意識が行き届いているような、興味深い作品だった。やっぱり>>続きを読む

14歳の栞(2021年製作の映画)

4.2

衝撃的。去年見逃してしまったので再上映で駆け込んだけどみてよかった...。『桐島...』や『エレファント』のような青春群像劇をドキュメンタリーなアプローチで撮ったような奇跡的な映画。

クリープハイプ
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ベッドの下(2014年製作の映画)

3.5

1分のホラー短編。人間食べ食べカエルのツイートから。
https://www.youtube.com/watch?v=gNQIdEv-Emo

この怖さはなんなんだろう...。
初めて下覗くときの緊張
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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.0

やっと追いついてみれた。公開から2ヶ月経ってもまだ満員の劇場ですごい。

エヴァにしてもエンドゲームにしても、予習前提のユニバース作品には功罪があるけど、こういうのを見るとやっぱりみてよかったーって思
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各駅停車(1992年製作の映画)

3.8

名作短編。オチに自信があればここまで引っ張っていいのか、と教わる映画。本編の8割くらいが「電車から降ろしてくれ」という交渉、つまりは「降りたい」という切実さの描写に使われている。

何が言いたいかとい
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スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019年製作の映画)

4.0

スタークの魂を引き継ぐSFヒーロー映画。
スマートグラス、衛星、ホログラムとワクワクする技術が続くし、特にドローンのプロジェクションで幻影を見せるってアイデアはかなり新しいように思う(映画史上であった
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恋愛小説家(1997年製作の映画)

4.2

こんなに面白い映画だったとは...。原題は"As Good as It Gets"(これが限界)。
「変人喜劇」(スクリューボールコメディ)として最高レベルの完成度だと思うので、『まともじゃないのは〜
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ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

3.8

クリスティが「探偵小説と海外旅行は逃避的志向という点で共通している」と言っているけど、すごく旅行に行きたくなる映画だった。考古学者と結婚したくらいに新しい土地や文化への関心が強かったらしいけど、ポアロ>>続きを読む

アメイジング・スパイダーマン2(2014年製作の映画)

3.4

電気のありがたみを実感する映画。マックス好きだったから彼の存在を肯定するような形で終わって欲しかったなぁと思う。

今作最大の葛藤は「亡くなった彼女の父からの呪縛」だけど、その決着がこの形なのも残念だ
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アメイジング・スパイダーマン(2012年製作の映画)

3.6

前シリーズよりダークでシリアスに感じるのは、家族との別離をしっかり描いている一方で、"冴えない主人公"の成長物語としての描写をコンパクトにしているからかな。MCU版もそうだけど、よく毎回新しい切り口で>>続きを読む

スパイダーマン3(2007年製作の映画)

3.7

65分でブラックスパイダーマンと化す。これまたウェルメイドな物語。

3作目ともあってやれること全部やっている。伯父を殺したヴィランが別人だった、カメラマンに逆恨みされる…。宿敵との協力というコジラv
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スパイダーマン2(2004年製作の映画)

4.0

スパイダースーツを捨てるシーンがちょうどミッドポイント(63分)に来る美しい物語。

舞台に間に合わないのを責められたり講義への遅刻を叱られたりバイトをクビになったりするの、『奥田民生になりたいボーイ
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スパイダーマン(2002年製作の映画)

3.8

ヒーローものって「特殊な才能が呪いになる物語」で、スパイダーマンも呪術廻戦もエヴァも根底は同じかもしれないと気づいた。その中でも決定的に「報われないヒーロー」であるスパイダーマンはユニークで、だからこ>>続きを読む

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)

3.8

医者や刑事がよく「私の夢は自分の仕事が必要のない世界にすること」みたいなことを言うけれど、まさに主人公が仕事を失うまでの物語で、呪われているという弱みが自分の決定的な強みになっているという裏腹な設定の>>続きを読む

許されざる者(1992年製作の映画)

3.9

『映画術』の「視線と表情」の章で絶賛されている今作。たしかに圧巻の「静」の芝居。さりげない芝居の積み重ねが、映画を決定的に面白くする、ということを体現している。なにか特殊な設定や裏切りがあるわけでもな>>続きを読む

blank13(2017年製作の映画)

2.8

クズな父に苦しめられる家族という超ベタな物語がどう収まるのか気になって見ていたら、まさかの「ドキュメンタル」のようなフリースタイルコント。原作は40分のコントだと聞いて納得。

今泉監督がよく「俳優が
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DEATH DAYS(2021年製作の映画)

3.9

2022.3.29
劇場にて2度目の鑑賞。メイキングドキュメンタリーとのセット上映で、監督のトークショー付き。

実は長久さんって自分にとってすごく大きな存在で、映画づくりに踏み切るきっかけをくれた人
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浅草キッド(2021年製作の映画)

3.8

「お約束」の笑いのエモさ。吉本騒動があったときのインタビューでボケ倒すゆりあんや、ZOOM事件の後の霜降りラジオが話題になったの思い出したけど、窮地でこそ笑いを追求する芸人の美学ってすごくいいなと思う>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.1

濱口さんの映画は「他の監督がカメラを降ろしたくなる」と言われるけど、まさに「ぼくらが観てきた・撮ってきた短編はなんだったんだろう」と思った。Director’s Directorみたいな人だ。

静の
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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.1

大ファンのエドガーライト作品だけどこれぞ「新境地」でハラハラした。ベイビードライバーは「ミュージカルアクション」、ショーンオブザデッドは「ホラーラブコメ」だったけど、毎回新しいジャンルを発明してるのほ>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

3.9

いい映画...映画館でみたかった。
「終活キャンプ」の擬似体験というか、理解できない人を理解できるようになるという意味で、まさに世界の広がる映画。

いつ大切な人・仕事・住処がなくなるか、は誰にもわか
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.6

「現代の殺し屋の日常」という面白い企画。タランティーノの映画を代わりにジャームッシュが撮ったら…みたいな印象。評判を聞いて遅ればせながらみた。

ふたりのキャラが魅力的でだんだんクセになる感じがした。
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ガチ星(2018年製作の映画)

2.9

苦手な映画だ...。人物が物語の都合で動かされていてそれこそ「駒」のように見えた。

CMのような短い断片の羅列で、どの関係性も掘り下げられることがないから、長い目でみたストーリーが見えない。ほとんど
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カイジ 人生逆転ゲーム(2009年製作の映画)

3.6

イカゲームみて観たくなった。

鉄骨渡りのシーンは、こんなに6回戦のガラス渡りと一緒だったか、と驚いたけど、外の世界や運営側の描写は少なく、むしろ地下の強制労働を抜け出せない厳しい現実として描いている
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空白(2021年製作の映画)

3.8

全員被害者、全員加害者。「悪人がいない物語」は増えているけど、「善人がいない物語」は新しいかもしれない。なんとも救いのない作品。

「タガタメ」で桜井和寿が歌ったように、もしも自分が加害者・被害者にな
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.9

「選ばれし者の宿命」が"足枷"から"責任"へと変わる瞬間を描いた物語、と言うべきか。

SFの中でも非常に特殊だと感じたのは、物語の前半で葛藤や共感性を描くことを放棄していること。8000年後の遠い未
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

4.0

高橋洋の「ホラー表現の鉄則」
①顔をはっきり描かない
②普通じゃない所にいる
③平面的に描く
④幽霊の主観目線を入れない
⑤悲鳴をあげない
⑥一部分を意図的に伏せる
⑦状況説明なしで出来事をすぐ描く
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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

3.5

「みんなみてるからみたい」という、マリトッツォ的な流行り方をしていた印象があったし、「キメハラ」とか言われるくらいの社会現象だったのでその思いは自分も持っていたけど、やっぱりそういった負の感情で劇場に>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.1

描こうとしていることやその描き方の真摯さが、ふだん観ている映画たちと比べると群を抜いていてショックを受ける。映画を撮るために存在しているような人というか、本当に彼じゃなくては撮れない映画で、自分の生き>>続きを読む

TOVE/トーベ(2020年製作の映画)

3.2

ムーミンの作者であるトーベヤンソンの人生を描いた物語。試写にて。

繊細で美しい映画。お伽話のような作品を予想していたら、むしろ非常に写実的で憂いのある作品。戦後の世界を描いているのもあるけれど、トー
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座頭市物語(1962年製作の映画)

3.8

演出が素晴らしい映画として、『映画監督 三隅研次』や『映画術 その演出はなぜ心をつかむのか』でも取り上げられている作品で、講義で断片的にみたことはあったけど、『サマーフィルムにのって』のハダシが激推し>>続きを読む

マスカレード・ホテル(2019年製作の映画)

3.5

かなり『HERO』な設定。今作は潜入捜査だけど、キムタクは定番のニューカマー。

調子乗って周りを馬鹿にする「最悪の出会い」から始まって、お互いが違う立場で協力して、リスペクトし合うゴールに向かうとい
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

3.8

青春劇、時代劇、ロマンス、タイムトラベルSF…を詰め込んで、一本の映画として成立させていてすごい。ミクスチャー映画。

これまた『ポンポさん』『桐島』『映像研』と同じく映画を撮る若者たちの物語だけど、
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魚座どうし(2020年製作の映画)

3.5

大人に振り回される二人の子どもの物語。

余白の多い映画だけど、「日常も事件で溢れている」と感じさせられた。むしろ大事件ではなく小さな事件の積み重ねがみんなを疲弊させる。

子供の日常って特に、「大人
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オールド(2021年製作の映画)

4.0

見事…。「1日で一生が過ぎるビーチ」というワンアイデアで、ここまで描き切る手腕さすが。

宮崎駿が言うように、こういう大きな魔法のある非日常的な物語ほど、ハレだけでなくケをいかに描くかの能力が問われる
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ファンタズム(2014年製作の映画)

3.9

息子の死を受け入れられず、降霊術にすがる母親のホラー。ナメテタ案件、面白い。

自主感もあるけど本がしっかりしていて、ちゃんと怖い。やはり低予算とホラーは相性がいい。

演出のヒントがたくさんある。
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